そもそも過労って?
そもそも「過労」とはどのような状況でしょうか。
過労はなぜ危険なのか、過労死等はなぜ起きるのか、現時点でわかっていることをご紹介します。
過労って?
私たちが日常的に感じている疲労は、病気による疲労を除いて、基本的には休むことで回復に向かうと考えられています。具体的には勤務中の休憩や休息時間、勤務後の余暇時間や睡眠によって疲労は回復していきます。疲労は悪者として考えられることもありますが、疲労を感じた時に適切に休むこと、休めることで健康的に働くことができます。ある意味、疲労は私たちが働き過ぎないようにするためのブレーキの役割を担っています。しかし、仕事の負担が私たちの回復力を上回るぐらい大きくなると、疲労は「過ぎたる疲労」である過労にシフトしていきます。
過労はなんで危険?
通常の疲労は休日や睡眠をとれば回復するものです。しかし、過労状態では、休日や睡眠をとっても、なかなか回復しません。そのような状態では、何事にもやる気が起きなくなったり、仕事でのミスやエラーが頻発したり、健康を害したり、生活の質が悪化してしまいます。また、本人だけではなく、上司や同僚、家族とのコミュニケーションも上手くいかなくなります。したがって、疲労が過労になる前に回復できるような働き方や休み方が重要です。
過労死等はどのように起きるの?
厚生労働省の定義では「業務における過重な負荷による脳・心臓疾患や業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする死亡やこれらの疾患のこと」が過労死等とされています。過労死等として労災認定される際の要因は、脳・心臓疾患では長時間労働、勤務時間の不規則性、出張の多い業務、重大な判断や処置が求められる等の心理的負荷を伴う業務、重量物の運搬作業等の身体的負荷を伴う業務、寒冷暑熱等の作業環境等です。精神障害では長時間労働、事故 や災害の体験、仕事の失敗、過重な責任の発生、仕事の量・質の変化、ハラスメント等の業 務による心理的負荷とされています。つまり、過労死等を引き起こす要因はこれらを含んだ働きであると言えるでしょう。
過労死等の労災認定
過労死等が業務上の事由により発症したとして労働災害として認定(労災認定)されると、病気の療養や休業、障害、遺族給付などの補償を受けることができます。労災認定については、過労死等のうち脳・心臓疾患は「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準」(令和3年9月改正)により、精神障害・自殺は「心理的負荷による精神障害の認定基準」(令和5年9月改正)により業務上外の判断が行われています。