ハイリスクな働き方
体やこころへの負荷が大きい働き方を知って、ご自身の働き方に照らし合わせてみましょう。
これまでの研究でわかってきた過労リスクの高い働き方をご紹介します。
長時間労働
当然のことですが、長く働けば働くほど、疲労回復に重要な余暇時間が削られることになります。私たちの疲労は、基本的に睡眠を含む余暇時間に大きく回復する性質を持っているので、健康的に働くには過度の長時間労働は避けるべきです。過労死等の認定基準にも「発症前1か月間に100時間または2~6か月間平均で月80時間を超える時間外労働」は過労死等の発症に関連性が強いとされています。国内外の研究からも、長時間労働は健康を害することが報告されています。したがって、長時間労働とはハイリスクな働き方の代表的なものであると言えるでしょう。
勤務間インターバルが短い勤務
勤務間インターバルとは、終業時刻から次の始業時刻までの間隔(インターバル)のことを言います。勤務間インターバルには、疲労回復に重要な睡眠時間や余暇時間が含まれています。そのため、勤務間インターバルが短い労働者ほど、睡眠不足や睡眠負債などの睡眠問題が大きく、疲労感が強く、血圧が高いことなどが報告されています。特に11時間未満の勤務間インターバルは、労働者への悪影響が顕著であることが報告されています。このため、日本では勤務間インターバル制度の導入が事業主の努力義務とされています。
夜勤・交替制勤務
夜勤は、労働基準法上で深夜時間帯(22時~翌5時)にかかる勤務を指します。交替制勤務は、いくつかに区分された労働時間帯を分担または交替(移動)しながら行う勤務を指します。夜勤・交替制勤務は、生体リズムに反して労働時間帯の一部または全部が本来の休息時間帯と重なるため、安全上では眠気の増大やパフォーマンスの低下が生じ、健康上では疲労回復に必要な睡眠時間が削られてしまうという問題が生じやすくなります。
不規則な勤務
過労死等の労災認定基準では、不規則な勤務の過重性は予定された勤務スケジュールの変更の頻度、程度、事前の通知状況、予測の度合、始業や終業時刻の不規則さで評価されています。不規則な勤務には夜勤・交替制勤務も含まれますが、どちらにも共通するのは疲労回復に適した夜間に十分な睡眠をとりにくいといった問題が生じやすいという点です。
ストレスフルな勤務
ストレスとは、人間が環境の変化や不変に対処しなくてはならない難しい状況(ストレス要因)と、その状況での心と体の緊張反応(ストレス反応)の両方を指す言葉です。事故や災害、失敗や過重な責任、過重な量的・質的負荷、役割や地位の変化、パワーハラスメント、対人関係の問題、セクシュアルハラスメントを伴うものは、ストレスフルな勤務といえます。このような働き方は、不眠、意欲の低下、気持ちの落ち込み、不安、疲弊感などの症状を引き起こし、生産性を低下させます。さらに、精神障害や脳・心臓疾患のリスクを高めます。