ストレスフルな勤務
何がストレスの原因になっているか
“ストレス”とはよく日常的に使われている言葉ですが、では、実際に、人々は何をストレスと感じているのでしょうか。厚生労働省の労働者を対象に行っている調査では、仕事の量、仕事の質、対人関係、仕事の失敗・責任の発生が比較的ストレスの原因としてあげられています。
ストレスと病気
実際に、ストレスは病気の発症とどのように関わっているのでしょうか。一般的に、心理社会的なストレスは、うつ病などのメンタルヘルス不調、心臓疾患、脳血管疾患の発症と関わっていることが知られています。例えば、比較的最近の研究では、約15,000人の日本人労働者を対象に、ストレスチェックで“高ストレス”と判定された人と判定されなかった人について、1年間の追跡調査を行っています。その結果、高ストレスと判定された男性は、そうでない男性と比較して6.59倍、高ストレスと判定された女性は、そうでない女性と比較して2.77倍、1か月以上の疾病休業のリスクが高かったことが報告されています。
ストレスにどのように対処するか
ストレスは悪いのはわかっているが、でも、個人では対処しようがないのでは、と思う方もいるかもしれません。確かに、仕事の量や対人関係は、個人の努力だけではどうしようもない時もあります。ただし、ストレスによって生じる不安、落ち込み、イライラなどについて、例えば、体を動かす、リラクセーションを行う、しっかり睡眠をとる、などの方法によって解消することができます。
また、不安や落ち込み、不眠などが数週間以上続いている場合は、早めに医療機関に相談することをお勧めします。過去の研究では、4人のうち3人が、うつ病の可能性があるのに、気がつかずに病院を受診していないことも報告されています。最近の国の統計でも、うつ病などの精神障害の罹患数は増えつつあり、早期発見、早期治療が病気の予後を考える上でも重要です。
参考文献
- Tsutsumi A., Shimazu A., Eguchi H., Inoue A., Kawakami N. (2018) A Japanese Stress Check Program screening tool predicts employee long-term sickness absence: a prospective study. J Occup Health. 25;60(1):55-63.
- Wang PS, et al. (2007) Use of mental health services for anxiety, mood, and substance disorders in 17 countries in the WHO world mental health surveys. Lancet. 370(9590):841-50.