研究報告書

【令和3年度】 トラック運送業における運行パターン及び精神案件の特徴

【令和3年度】 トラック運送業における運行パターン及び精神案件の特徴
目次

研究要旨

この研究から分かったこと

運行パターンには事業者の特徴が現れ、また各パターンは特徴的な勤務実態を有する。精神障害事案において、「運輸,郵便」と他の業種の特徴を区別する重要なイベントが推定された。

目的

過労死防止の対策立案に繋げるため、トラック運送業の運行パターン分析及び精神障害事案の特徴抽出を行った。運行パターン分析では、事業者デジタルタコグラフデータをパターン分類し、その推移の特徴を抽出すること及びパターン毎の勤務データの特徴を抽出することを目的とした。精神障害事案の特徴抽出では、事案発生の重要な要因とされている業務上の出来事(イベント)について「運輸業,郵便業」の負担要因の特徴を明らかにすることを目的とした。

方法

運行パターン分析では、運行開始・終了時刻、荷積・荷降時間、休憩時間等の運行データを元に、各運行を8 パターンに分類し、月内で最頻出となるパターンを各運行月の運行パターンとした。また、運行時間(拘束時間)等の勤務データについて、運行パターン別に比較し、特徴を抽出した。精神障害事案の特徴抽出では、平成22年~29年度の8年間に支給決定された3,517件の精神障害事案を用い、判別分析により特徴を抽出した。はじめに21業種を8業種にまとめて分析を行った。さらに、ターゲットとなる「運輸,郵便」と「その他」を除く6分類から2分類を選択した3組のデータセットを作成し、この3分類での分析を行った。

結果

運行の大部分は短休息期間型や早朝出庫型であり、朝起きて夜眠る働き方とは異なる勤務形態であった。主要運行パターンは事業者により相違があった。拘束時間や連続運行日数等の分布は、運行パターン別に特徴を有することが伺えた。精神障害事案の発生に影響すると考えられている36種類のイベントの中から、7分類を判別するための重要なイベント18種類を抽出した。これら18のイベントの有無が7分類を特徴づけ、「運輸,郵便」の特徴も推定できた。

考察

各事業者内の運行パターンは比較的安定して推移しており、事業状況、繁忙期や新型コロナウイルス感染症による勤務状況の変化等をパターン推移から予想できるかもしれない。今後、精神障害事案の業種間の差を説明する18イベントの判別関数係数から、イベントの複合や交絡とそれぞれの重みづけを検討できる可能性がある。

キーワード

運行パターン、判別分析

執筆者

酒井一博

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