【令和元年度】 トラックドライバーの過労死防止を目的としたデジタルタコグラフのAI解析に関する研究
研究要旨
平成22年1月~平成27年3月までのトラック事案の労災調査復命書341件を分析し、運行8パターンに分類した。このうち283事例について、現在走行しているトラックのデジタルタコグラフ(以下「デジタコ」とういう。)42,734件と突合し、運行パターン比率を求めた。その結果、両者に共通点が見られた。そこで、労災調査復命書には含まれないがデジタコに含まれる運行情報に着目して、長期間にわたりデータ集積し分析するスキームを策定した。それに基づいて、1,000台以上のデジタコデータを収集し計画を進めている。
このスキームは、トラックドライバーの運行パターンや詳細な労働態様に関するデータを大規模に収集する仕組みを作る布石となる。トラックにデジタコを搭載することは業界内で急速に進んでおり、有用なデジタコデータをデータベースに集約させることは時宜である。またAI分析は、ヒトが介在せずデータを収集できる仕組みが重要であることから、デジタコデータをデジタコメーカー、システムベンダーを介して自動で収集及び分析できることは、本研究に大きく寄与する。また本スキームは、外食産業などの高リスク業種などへ横展開が期待できる。
執筆者
酒井 一博