【令和2年度】 過労死等事案における脳・心臓疾患の病態に関する研究

  • 令和2年度
  • その他
  • 事案分析:脳・心疾患

研究要旨

過労死等データベース(業務上認定の脳・心臓疾患事案2,027件、平成22年4月~平成29年3月の7年間及び業務外認定の脳・心疾患事案1,961件、平成22年4月~平成27年3月の5年間)を用いて、過労死等データベース(脳内出血版)を作成した。決定時疾患名が脳内出血(脳出血)であり、脳出血部位、発症前6か月間の時間外労働時間が明らかな業務上事案(412件)、業務外事案(528件)の計940件を対象に、業務上事案と業務外事案の脳内出血の部位(被殻出血、脳幹部出血等の高血圧性脳出血部位とそれ以外)の比較を行った。

脳内出血の部位は業務上事案で有意に高血圧性脳出血部位からの出血が多く、対象者属性を調整したロジスティック回帰分析ではオッズ比は1.79(95%CI:1.14-2.82)と有意に高かった。業務上事案の時間外労働時間が増加するにつれ、高血圧性脳出血の発症オッズ比は増加し、6か月平均の時間外労働が60-79.9時間で2.15(95%CI:1.07-4.31)と有意に高血圧性脳出血発症オッズ比が高くなった。業務の過重負荷による血圧の上昇を介して、高血圧性脳出血を発症させるメカニズムが示唆された。

執筆者

守田 祐作

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