【令和5年度】 職場の疲労特性を反映したAI 勤怠スケジューラーによる 交替勤務介護労働者への介入調査

  • 令和5年度
  • 久保 智英
  • 重点業種
  • 現場介入研究
  • 夜間勤務・夜勤
  • 勤務間インターバル
  • 疲労
  • ストレス
  • 睡眠
  • ツール

研究要旨

この研究から分かったこと

職場の疲労特性に応じたオーダーメイドのシフト作成をAI 勤怠スケジューラーによって実施した結果、客観的な睡眠指標において改善傾向が認められた。 

目的

職場の疲労特性に応じたAI 勤怠スケジューラーによって自動作成されたシフトと、従来通り、シフト管理者によって手動作成されたシフトで働いた際の疲労や睡眠の状態を介入調査手法によって比較することが本研究の目的である。

方法

交替勤務に従事する介護労働者35 名が本調査に参加した(内10 名は男性、平均年齢±標準偏差;41.1±12.9 歳)。4 か月間の調査期間中、2 か月間の介入条件及び統制条件をクロスオーバーデザインによって実施した。調査前の職場の疲労カウンセリング手法によって対象職場の介護労働者にヒアリング調査を行い、疲労回復に望ましい交替勤務シフトの諸条件を抽出した。介入条件では、これらの情報をAI 勤怠スケジューラーに反映させて交替勤務シフトを自動作成させた。統制条件では、従来通り、シフト管理者が手動でシフトを作成した。睡眠は指輪型生体デバイスを調査参加者に4 か月間装着させて測定した。統計解析は調査条件と時期の2 要因のマルチレベル分析を用いた。年齢、性別、婚姻状況、事業場(A 事業場、B 事業場)、経験年数、BMI、飲酒、運動、新型コロナウイルス感染の有無を調整した。 

結果

AI 勤怠スケジューラーによる睡眠への効果は、深い睡眠指標において条件差が検出され(P=0.003)、介入条件の方が統制条件に比して有意に深い睡眠が増えていた。レム睡眠、総睡眠時間に関しても深い睡眠と同様に介入条件で増加する傾向が示されていたが、いずれの指標も有意傾向(P=0.056,P=0.087)であった。しかし、その他の覚醒、睡眠効率、睡眠潜時の指標は条件間で有意差は検出されなかった。加えて、交互作用はいずれの指標においても認められなかった。 

考察

本研究の結果、介入期間における疲労回復に重要な深い睡眠の量が、シフト管理者が手動でシフトを作成していた統制期間に比べて、有意に増加していた。この結果はAI 勤怠スケジューラーの効果を支持するとともに、職場の疲労カウンセリングによるオーダーメイドの疲労対策の重要性をも示唆するものである。

キーワード

AI 勤怠スケジューラー、職場の疲労カウンセリング、介護労働者

執筆者

久保 智英

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