【令和5年度】 対策実装研究アクション5:改善型チェックリストの開発と実践
研究要旨
この研究から分かったこと
業種、職種の仕事の特性や、企業ごとの方針、既存の取組みや制度(安全衛生委員会、安全ミーティング等)を考慮した介入の重要性が示された。
目的
過労死等の防止対策実装研究のアクション5 として、職場の環境改善を支援するツールの開発と、それを使用した運送会社での改善の取組みを実践することを目的とする。昨年度までに、過労死等の包括的な予防対策の6 つの柱(協力して成長できる/健康のために必要な睡眠・休息がとれる/安全に働ける/互いに尊重し支えあえる/社会的責任を果たす/健康で元気に働ける)を設定し、トラックドライバーを対象とするアクション型チェックリストの項目を作成した。
令和5 年度には、中規模未満の運送会社を想定し、従業員が参加するグループワクや職場の研修などの改善活動を想定したプログラムと、その支援のためのチェックリストの開発を進め、運輸の現場への適用を行う。
方法
これまでに開発した6 つの領域の項目からなるチェックリストを運送業及び関連する事業の職場改善活動に適用した。また、ドライバーがより参加しやすい方法として、チェック項目をカード化して、議論をしながらカードゲームのように対策事項の分類や整理を行う手順を開発し、その適用も試みた。
結果
① 中規模運送会社の安全衛生委員会主導の改善活動でチェックリストが利用され、改善の成果が社内全体に報告・共有された。
② 倉庫業の作業者のミーティングで、カード式のチェックリストが利用された。
① では作業の効率化、作業環境の安全確保、荷主との連携による作業時間の短縮の改善が実行された。② では、カード式のツールによって、短時間で対策事項の決定までを行うグループワークの実行が可能であることが示された。この事例では、グループ単位での取組み内容が決定し、取組みの準備が進められた。
考察
開発されたツールによる企業での取組みの実践がなされた。対象企業に対する支援と情報交換を継続し、取組みの継続方法の模索と成果の記録を継続する必要がある。また、より小規模の事業場での取組みの普及のための方策の検討が課題である。
キーワード
実装研究、運輸業、建設業
執筆者
酒井 一博