【令和6年度】過労死等の防止のための対策実装に関する研究

  • 令和6年度
  • その他
  • 重点業種
  • 対策実装研究

研究要旨

この研究から分かったこと

ステークホルダー会議の業界メンバーとの連携の継続により、より現場当事者に接近した実態調査と改善の取組みの試行が可能になった。

目的

過労死等の防止のための対策実装研究では、産業界の安全衛生のキーパーソン、産業保健・労務の有識者・研究者をメンバーとする「過労死等の防止対策ステークホルダー会議」での議論を通じて、過労死等の削減に向けた仕組みや支援ツールの提案、モデル的な事業の実装、及び効果(現場改善、とりわけ過重労働の軽減や、生産性の向上)の検証を行う。

方法

対策実装研究チームは令和4(2022)年度に5つの対策アクションをステークホルダー会議で提案した。それらは、①事業者によるハイリスク者の把握と管理、②重層構造の解明、③小規模事業場の健康・労務管理の改善と支援、④個人の行動変容の支援、及び⑤職場環境改善の推進である。本年度は、対策の仕組みづくり及びツール開発を継続し、ツールの適用を進めた。また、2つの新規アクション(精神疾患対策、介護労働での対策)の可能性の検討に着手した。

結果

新たに精神疾患による過労死等の予防対策の実装方策の検討に着手した。タイムスタディの手法による実態調査への着手(アクション2:建設現場監督の働き方)、企業、事業者団体、産業保健の関係組織が連携する仕組みの構築・運営(アクション3:産業保健サービス)、チェックリストのWeb化(アクション3)、健康管理支援の結果の分析と課題の整理(建設技能者)、カードゲーム式職場改善ツールの運輸職場への適用が進展した。

考察

ステークホルダー会議メンバーを中心とした業界のキーパーソンの助言と協力の継続により、各アクションにおいて現場の当事者への調査や現場との協働による改善の取組みが進展した。新規課題(精神、介護福祉労働)については、予備的なヒアリングにより問題・課題が多いことが伺われた。いわゆる2024年問題の該当年以降の状況の観測と記録、対策の実装の仕組みの在り方の検討、及び生産性の向上を含む過労死等防止対策の効果検証を継続する。

キーワード

実装研究、運輸業、建設業

執筆者

酒井 一博

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