【令和6年度】対策実装研究アクション4:生活習慣の改善の取組み
研究要旨
この研究から分かったこと
多様な作業者が従事する建設現場をハブとする健康行動を促進する取組み事例が示された。こうした取組みの実装のための今後の課題が整理された。
目的
過労死等防止において健康的で安全に働くために労働者個人が自身の健康状態を理解し、体調悪化時には早期に休息をとるなど体調を整えるセルフケアが重要である。本研究では建設技能者を対象に、自身による生活習慣の意識、把握、改善を支援するツールを開発し、建設業における過労死等の防止につながる生活習慣、睡眠習慣、及び働き方の改善を目指すことを目的とする。これまでに、建設技能者を対象として、睡眠の管理等の機能を有するトラッカーの適用、健康管理に関するミニ講話の実施を試み、生活習慣、トラッカーの利用状況、ミニ講話の有効性等に関するアンケート調査を実施し、これらのデータの分析に基づき、セルフケアの改善の実装のための課題を整理してきた。本年度は、今後の調査・介入方策の検討を引き続き実施する。
方法
昨年度までに、高層建築物の建設作業者(技能者)を対象とした、睡眠の管理等の機能を有するアプリケーションをもつトラッカーの装着、及び調査期間中の健康管理に関するミニ講話を試みた。調査の開始時と終了時に生活習慣、トラッカーの利用状況、ミニ講話の有効性等に関するアンケート調査を実施した。本年度はこれらの結果から、今後の現場介入・調査手法に関する課題を検討する。
結果
昨年度までの分析によりトラッカーの受容性や活用の程度の個人差が顕著であった。建設現場では所属や専門の異なる多様な職種の対象者であることも影響した。工期のフェーズなどによる勤務状況の相違の影響があり、典型的には工期のフェーズの転換に伴い、人員の入れ替わりが発生し、対象者の追跡が困難になる例もあった。
考察
睡眠実態と行動変容を促す有効な介入方策の検討において、建設業の特性、職場要因、個人要因を考慮した対策実装方策の検討をさらに進める。睡眠環境を改善する可能性のある種々の手法や機器の導入の効果の検討も有効と思われる。職場状況の要因をコントロール可能な現場の選択や手法の導入も検討する。
キーワード
生活習慣改善、自主性、アクション型
執筆者
酒井 一博