【令和7年度】道路貨物運送業における支給決定された精神障害事案の解析

  • 令和7年度
  • 茂木 伸之
  • 事案分析:精神障害
  • 重点業種

研究要旨

この研究から分かったこと

道路貨物運送業の支給決定事案は、約90%が男性であり、運転業務・非運転業務ともに「長時間労働関連」が最も多い認定要因であることが明らかになった。その次の認定要因として、運転業務では、交通事故等に関連する「事故や災害の体験」であり、非運転業務では、「対人関係」であった。

目的

本研究では、平成22年度から令和4年度の13年間の労災支給決定された精神障害事案について検討を行うことを目的とする。

方法

労災支給決定された6,438件の精神障害事案データベースを使用し、道路貨物運送業409件、運輸に附帯するサービス業19件、合計428件を対象とした。分析項目は、基本属性、発症時・死亡時年齢、決定時疾患名、業務における心理的負荷(平成23年認定基準)、入社日から発症の日数の記述統計を行った。

結果

性別は男性376件(87.9%)、女性52件(12.1%)であり、職種は運転業務278件(65.0%)、非運転業務150件(35.0%)であった。発症時平均年齢(SD)は運転業務42.7(9.0)歳、非運転業務40.3(9.5)歳であった。全体の決定時疾患名は、F32うつ病エピソードが175件(40.9%)、F43.2適応障害が131件(30.6%)、F43.1心的外傷後ストレス障害が47件(11.0%)の順であった。業務における心理的負荷の内、労災認定基準となる特別な出来事及び出来事「強」の単独の件数(324件)は、運転業務では、「仕事の量・質」が78件(35.1%)で最も多く、「事故や災害の体験」が51件(23.0%)、「極度の長時間労働」が28件(12.6%)の順であった。非運転業務では、「仕事の量・質」が30件(29.4%)、「対人関係」が21件(20.6%)、「極度の長時間労働」が19件(18.6%)の順であった。

考察

認定件数は約90%が男性、全事案では64.3%であった。総務省労働力調査(2024年)による道路貨物運送業の就業者総数は197万人、うち男性は157万人と約80%占めていることから男性が多い要因と考えられる。決定時疾患名は、道路貨物運送業及び全事案においてうつ病エピソード、適応障害、心的外傷後ストレス障害の順で多かった。適応障害が全事案と比較して約6%多いことが明らかになった。業務における心理的負荷において、過重労働に関連する出来事「強」の「仕事の量・質」と特別な出来事の「極度の長時間労働」を合わせると、運転業務及び非運転業務ともに約50%を占めていた。次いで多い出来事は、運転業務では交通事故等に関連する「事故や災害の体験」、非運転業務では「対人関係」であった。過重労働対策として適切な労働時間管理等が必要と考えられる。また、交通事故等の事故対策及び様々なハラスメント対策をすることが必要であると考えられる。

キーワード

長時間労働、運転業務・非運転業務

執筆者

茂木 伸之

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