【令和7年度】業種・職種別の過労死等の特徴と分析結果活用に関する研究2025

  • 令和7年度
  • 吉川 徹
  • 労災事案分析
  • 重点業種
  • ツール

研究要旨

この研究から分かったこと

重点業種等である「教職員」「外食産業」「メディア業界」「芸術・芸能分野」を対象として、過労死等の実態と防止対策を分かりやすく提示するファクトシートを作成した。研究成果の社会実装を促進する普及資材としての活用が期待され、今後の継続的改訂と普及が重要である。

目的

第14次労働災害防止計画(2023年度から2027年度)では、過労死等防止調査研究センターにおける研究成果を踏まえた業種別・職種別の防止対策の作成及び周知が求められており、重点業種等の特性に応じた取り組みが必要とされている。本研究では「過労死等の防止のための対策に関する大綱」において重点業種等として位置付けられた「教職員」「外食産業」「メディア業界」「芸術・芸能分野」に注目し、過労死等事案研究により蓄積された知見の整理及び成果の実務的活用について検討した。本年度はこれら4業種を対象とした「業種・職種別のファクトシート(Factsheet:FS)」案を作成するとともに、既存のファクトシートの見直しを行った。

方法

平成27年度以降に実施されてきた過労死等事案研究の分担研究報告書及び関連学術論文を収集し、対象4業種における過労死等の発生要因、防止対策の視点を整理した。過労死等データベース及び過労死等防止対策白書の情報も参照し、業種特性に応じたFACT(実態)及び対策の優先事項を抽出した。これらを基に、A4判2~4枚程度のファクトシート案を作成した。また、令和6年度までに作成した「自動車運転従事者」「建設業」「医師」「看護師」「IT産業」「精神疾患の業種別心理的負荷」のファクトシートについても公開に向けた内容精査及びレイアウト修正を行った。

結果

教職員では長時間労働に加え対人関係要因の関与が大きく、学校種別に特有の業務負荷が確認された。外食産業では小規模事業場における長時間労働と職種別負担構造が特徴であり、若年層の精神障害事案が多かった。メディア業界では若年労働者への業務集中、不規則勤務及び業務量変化が主要要因として示された。芸術・芸能分野では制度的安全衛生管理の不足や雇用形態の不安定性など構造的要因が心理的負荷に関与していた。これらの知見を基に、業種特性を踏まえた過労死等防止のポイントを整理したファクトシート案を作成した。また既存ファクトシートについては公開に向けた見直しを行った。

考察

作成したファクトシートは、研究成果を現場で活用可能な形に整理した普及資材として、事業者、管理者、労働者、産業保健専門職及び行政担当者による共通理解形成に資することが期待される。一方、ファクトシートは要約資料であるため、情報の選択や伝達方法が活用度に影響する可能性がある。今後は利用者からの意見収集を通じた継続的改訂と、研究成果更新に応じた循環的見直しが必要である。また、労災認定事案を中心とした分析である点や業種分類の多様化に伴う抽出上の制約などが本研究の限界として挙げられる。

キーワード

ファクトシート、教職員、外食産業、メディア業界、芸術・芸能分野

執筆者

吉川 徹

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