【令和7年度】トラック運送業における運行パターンの定量解析
研究要旨
この研究から分かったこと
ドライバーの過労死等は様々な環境で生じていることが分かった。定期健康診断後のフォローアップ強化の必要性が明らかになった。ドライバーの運行形態により生体リズムに相違が観察された。業種間共通要因には総合的な対策、業種特殊性のある要因には個別的対策が有効であり、細やかな働き方の実態究明を継続することが重要である。
目的
過労死等脳・心臓疾患による認定事案から、トラック運輸業における事案の要因と特徴を抽出し、脳心事案の運行パターン分類から見出された8パターンについて、各運行パターンで従事しているトラックドライバーの過重性評価のため、生体リズムの評価を行う。また、他業種、他職種の事例から過労死等のリスクを低減させる条件や適切な管理方法を検討するために、医師とIT技術者の働き方の実態とリスク要因の調査を行うことを目的とする。
方法
令和3・4年度の脳・心臓疾患による認定事案から、運輸・郵便業かつ輸送・機械運転従事者を抽出し、事業場規模や雇用形態等を分類した。トラックドライバー40名の体表面温度を2か月間連続計測し、周期解析により生体リズム評価を行った。また、A病院の医師240名、調査会社を介した一般医師311名、IT産業に属する1,715名、IT産業以外に属するIT技術者902名より得た、労働時間外業務、自己研鑽、請負階層、ハラスメントの状況、精神健康度等に関する回答を用い、トラックドライバー、医師及びIT技術者を対象とした働き方及びリスクの共通要因を抽出した。
結果
トラックドライバー100件の事案が抽出された。平成22~27年度の5か年と比べ、発症時年齢は高く、事業場規模は50人以上が多かった。定期健康診断で血圧あるいは血糖の項目が要治療とされたハイリスク者70件のうち、半数は未治療もしくは治療が中断されていた。体表面温度の時系列に対する周期解析を行ったところ、24時間周期成分はほぼ全ドライバーから検出された一方、72時間周期の成分が長距離ドライバーで多く検出された。
考察
事案分析から、健診後のフォローアップが行えていないことが示唆された。宿泊を伴う運行を担うドライバーには、数日間単位の生体リズムが生じている可能性が示唆された。トラックドライバーと医師の働き方の共通点として、労働時間の曖昧さを有しやすいことが示唆された。
キーワード
トラックドライバー、健診後フォローアップ、業種間比較
執筆者
酒井 一博