【平成27年度】 精神障害・自殺の労災認定事案の分析に関する研究
研究要旨
平成22年1月から平成27年3月までの間に支給決定された精神障害の労災認定事案のデータベースを作成・分析し、業務上の精神障害・自殺の実態及びその背景要因を明らかにすることを目的とした。
脳・心臓疾患と精神障害(自殺を含む)の過去5年間(平成22年1月から平成27年3月)の労災認定事案について、全国の労働局及び労働基準監督署より、調査復命書と関連資料を過労死等調査研究センターに収集した。統計処理を可能にするために、関連情報を数値化したデータベースを構築した。精神障害事案でデータベース化された2,000件を本研究の分析対象とした。
精神障害の労災認定事案全体において、男女を問わず発症時に30歳代の事案が最も多く、特に女性では39歳以下の事案が全体の約60%を占めていた。業種・職種別では製造業を中心に男性の事案が多くなっていた一方、医療・福祉業では顕著に女性の事案が多いなどの特徴がみられた。さらには、事故や災害の体験についてはF4に該当した生存事案が、対人関係(嫌がらせ・いじめ、暴行、上司とのトラブル、セクシュアルハラスメントなど)については男性の死亡事案ではF3が、女性の生存事案ではF4が多い傾向がみられた。
執筆者
松本 俊彦