【平成27年度】 運輸業・郵便業における過労死(脳・心臓疾患)の予測及び防止を目的とした資料解析に関する研究
研究要旨
運輸業・郵便業における過労死の予測及び防止という目的を達成するために、平成27年11月30日現在に得られた脳・心臓疾患の労災認定事案の調査復命書から81事例を抽出した。また業態別の労働パターンに着目し、トラック運転手、トレーラー運転手、タクシー乗務員、バス運転手、配送ドライバーについて事例分析を行った。
その結果、疾病名では、心筋梗塞、脳出血、くも膜下出血の順に多く、50代の発症が顕著であった。従業員数では、50人以上か20人未満の事業場が多かった。発症月は1月、2月の寒冷期、発症曜日は木曜日、発症時刻は13時、16時と23時に多い傾向があった。また多くの被災者は、複数の短期雇用を経て当該事業場に雇用され、雇用から2年未満の時期に発症していた。労働時間以外の要因では、拘束性、不規則性、夜勤・交代勤務が挙げられた。既往症との関係では、高血圧症、高脂血症、糖尿病の順に多く、過去に脳・心臓疾患にり患したケースもあった。
今後、このような結果が、n数を増やしても普遍性があるかを検討し、しかるべき解決策を提案したい。
執筆者
酒井 一博