【令和4年度】 対策実装研究アクション1:ハイリスクドライバーの把握と対策

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  • ツール

研究要旨

この研究から分かったこと

ドライバーの健診受診率は高いものの、約1 割はハイリスク者に該当し、かつ、ハイリスクドライバーの約4 割は病院に通院していないことが明らかになった。健診受診に留まらず、ハイリスクドライバーへの病院受診を促す対策が必要である。

目的

健診結果からハイリスクドライバーを把握するためのツールを用いて、運輸事業者が速やかにハイリスク者を把握できるようになることを目的とした。今年度は事業者及びドライバーのアンケート調査により、事業場のハイリスクドライバーの実態を調査した。

方法

都道府県トラック協会2 協会に所属する事業者の中から協力の得られた34 事業場を対象に、ハイリスク者把握のための手引き、事業者を対象としたアンケート、ドライバーを対象としたアンケートを郵送し、回答を得た。

結果

34 事業者中26 事業者より返信があり、事業者アンケートは24 社、ドライバーアンケートは1,293 人から回答を得た。事業者の回答から、事業場平均でドライバーの99.0±3.9%が定期健康診断を受診していることが明らかになった。また、12.7±12.9%のドライバーはハイリスク者に該当し、三重奏及び四重奏に該当するドライバーの割合は、それぞれ9.5±9.3%、3.1±5.5%であった。ドライバー本人の回答ではハイリスクに該当するドライバーが11.0%、三重奏または四重奏に該当するドライバーは11.7%であった。ハイリスクドライバーのうち39.4%は通院していないと回答した。

考察

本研究結果は、トラックドライバーが健診を受診する機会を得られているものの、あくまで健診受診に留まっており、ハイリスクドライバーを病院受診に繋げる取り組みが弱いことを示していた。事業者が該当ドライバーの病院受診を促せるように、ハイリスクドライバーを素早く把握するためのツールを有効活用する必要がある。今後は、事業者や事業場、協会、ドライバー等のステークホルダーを交え、ハイリスクドライバーに病院受診を促す対策実装モデルの策定と、モデル地域の選定を進める。

キーワード

定期健康診断、ハイリスクドライバー、病院受診勧奨

執筆者

酒井一博

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