研究報告書

【令和4年度】 労働安全総合衛生総合研究所(JNIOSH)コホート研究

【令和4年度】 労働安全総合衛生総合研究所(JNIOSH)コホート研究
目次

研究要旨

この研究から分かったこと

長時間労働が繰り返されることにより血中脂質値や血糖値は悪化する可能性があることが示唆された。

目的

12 か月間の平均労働時間及び同12 か月間での長時間労働の頻度と2 年後の健康状態の関連について検討することを目的とする。またコホート研究の進捗状況としてデータ収集状況、参加状況、参加者の健康状態など全体の特徴についても示す。

方法

JNIOSH コホート参加企業8 社のうち5 社の勤怠データ、健康診断結果を用い、1 年目の健康診断結果(血圧、血糖、脂質)に所見のなかった労働者2,870 名を解析対象とし、12 か月間の平均労働時間、長時間労働(月当たり45 時間以上の残業)の頻度を独立変数、2 年後の健康診断指標を従属変数とした多重ロジスティック回帰分析を行った(調整変数:年代、性別、勤務形態、雇用形態、職種、1 年目のBMI 区分、2 年目平均労働時間(カテゴリー変数))。

結果

統計的に有意なオッズ比が示された健康診断指標は、平均労働時間ではHbA1c、HDL コレステロール、LDL コレステロール、長時間労働の頻度ではBMI、収縮期血圧、空腹時血糖であった。

考察

1 年間の平均労働時間が長くなると、2 年後のHbA1c、LDL コレステロールの有所見のオッズ比が上昇し、また1 年間の長時間労働の頻度が増えるにつれて2 年後の空腹時血糖の有所見のオッズ比も上昇することから、過去の長時間労働が脂質や血糖に影響している可能性が示唆された。

キーワード

平均労働時間、長時間労働の頻度、健康診断指標

執筆者

高橋正也

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