【令和元年度】 介護サービス業の事案解析に関する研究

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研究要旨

過労死等防止のための対策に関する大綱」で過労死等の多発が指摘されている医療等の業種に位置付けられる医療・福祉業のうち、介護サービス業の脳・心臓疾患及び精神障害について過労死等防止対策の提案を念頭において解析することを目的とした。

平成22年1月から平成29年3月の過労死等データベースを用いて脳・心臓疾患7事案、精神障害59事案を労災調査復命書とそれに添付されている労働時間集計表をもとに解析した。介護サービス業の勤務形態の特徴は、日勤は8時間労働だがシフト数が多く、夜勤は16時間労働という形態が多かった。脳・心臓疾患は、介護業務に他の業務が加わった長時間労働で生じていた。また夜勤や宿直時の長い拘束時間に関係した発症が多かった。このことから、脳・心臓疾患と夜勤時の仮眠を含む夜間長時間拘束、とりわけ2連続夜勤、連続休日の関係を明らかにすることが次への道筋であることが示唆された。

精神障害事案では、加害者が存在する人的被災事案と存在しない非人的被災事案に分かれたが、それらの決定時イベント直後に生じた心理イベントを介して決定時疾患が生じていた。心理イベントの解析から、精神障害事案の防止対策として、1人夜勤は行わない、イベントが生じたら直ぐ組織的な対応をとる、イベント直後の長時間労働を行わないことの有効性が示唆された。

執筆者

酒井 一博

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