【令和元年度】 労働者の体力を簡便に測定するための指標開発

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研究要旨

過労死やその関連疾患の防止策を検討する疫学研究では、労働者を取り巻く環境(外的要因)だけでなく、労働者自身が備え持つ特性(内的要因)も考慮に含め、検討する必要がある。本研究では、労働者自身が自らの身を守るための要素として、“体力”、特に“心肺持久力(cardiorespiratoryfitness:CRF)”を1つの重要な内的要因と考え、疫学研究や労働者個人の健康管理に活用できる新しいCRF評価法(仮称HRmix)の開発を目指している。

今年度は、1)昨年度までの被験者実験のデータを用いた分析と論文投稿、2)HRmixの改良のための被験者実験、3)開発した質問紙(WLAQ_CRF)や体力検査法(JNIOSHステップテスト)を用いた横断調査を行った。1)に関しては、WLAQ_CRFに関わるデータ分析の結果を論文にまとめ、専門家(査読者)のコンセンサスを得て、学術誌で公開した(WLAQ_CRF開発完了)。2)に関しては、年度内に80人程のデータを、3)に関しては、年度内に380人程のデータを取得する見込みである。

本研究の成果を疫学研究や労働者の健康管理に活用するためには、HRmixの精度を高め、より簡便な方法が提案できるよう改良を重ねる必要がある。他方、HRmix測定を大規模調査に含めるためには、あるいはHRmix評価値を健康情報として労働者個人に返却するためには、労働者自身や企業担当者の作業負担軽減を図る必要がある。次年度以降は、被験者実験や横断調査でのデータ取得に加え、HRmix運用に必要なデータ管理システム構築にも取り組みたい。

執筆者

松尾 知明 

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