【令和2年度】 長時間労働と循環器負担のメカニズム解明
研究要旨
過労死等の防止は労働衛生上の重要課題である。本研究では、過労死等のリスク要因である長時間労働が、心血管系反応に及ぼす影響を明らかにし、心血管系負担の軽減策を検討するための基礎データを蓄積することを目的とした。第二期研究では、第一期の研究結果を踏まえ、長時間労働における循環器負担への①加齢の影響、②短時間睡眠の影響、③長めの休憩のタイミングの影響を明らかにし、長時間労働による心血管系負担の軽減対策を考える。
主な結果は、①加齢の影響について、30代~60代(65歳未満)の模擬長時間労働時の血行動態反応を比較した結果、30代と比べ、50代と60代の作業中の収縮期血圧が有意に高かった。②短時間睡眠の影響について、5時間睡眠条件と7時間睡眠条件後の模擬長時間労働時の血行動態及び心理反応を比較した結果、長時間労働により血圧増加や疲労、ストレスの悪化が、短時間睡眠により一回拍出量の増加や総末梢血管抵抗の低下、眠気、疲労、ストレスの悪化が見られたが、短時間睡眠が模擬長時間労働の反応をさらに増悪するような交互作用は見られなかった。③長めの休憩のタイミングについて、夕方の長めの休憩は柔軟に設定できることを明らかにした。