【令和2年度】 過労死等の防止のためのアクション支援ツールの開発-アクション支援ツールの仕様・項目の検討-

  • 令和2年度
  • 鈴木 一弥
  • 対策実装研究
  • ツール

研究要旨

目的

仕事の過重な負荷や休息不足による脳・心臓疾患などの健康障害、職場で受けた強い心理的負荷による精神障害や自殺が深刻な問題となっている。本研究では、過労死等防止調査研究センターの研究成果の集約と、包括的な視点での問題の整理と実用性・実効性の検討に基づいた過労死等の防止のためのツールを開発する。

方法

過労死等防止調査研究センターの各研究の成果、及びツール開発のために昨年度まで実施してきた既存の対策ツール(過重労働、ストレス、ハラスメント等)の現状調査分析に基づき、エキスパートディスカッションによってツールの様式、主要項目等を決定した。既存のツールから収集したアクションフレーズリスト等を参考に、具体的なアクション項目案を決定した。

結果

 開発するツールの仕様として、過重労働とストレス・メンタルヘルスに関する事業者による自主的・包括的対策を支援する「過労死等の防止のためのアクション支援ツール」を設定した。職場の目標を示す「6つの柱」として、①健康の維持に必要な睡眠・休息がとれる職場(長時間対策)、②目標・計画・進捗が共有され、協力して持続的に成長できる職場(業務と経営管理)、③安全に働ける職場(事故・災害防止とケア)、④互いに尊重し支えあえる職場(人間関係支援、ハラスメント等対策を含む)、⑤社会的に真っ当な職場(コンプライアンス)、⑥健康で元気に働ける職場(健康管理とワークライフバランス)を設定した。これらの6つの柱と目標のそれぞれに対し、下位のより具体的な「改善視点」を設定し、さらに下位のアクションフレーズ候補を選択・決定した。現時点で6つの柱のそれぞれにつき7~39、計94のアクションフレーズ候補を設定した。

今後の課題

業界、事業者、研究者の協働(ステークホルダーミーティング)によって、業種・職種の特性等も考慮し、実効性と継続性のある対策の実装プロセスを探索する。その際に本ツールを足掛かりとし、実現可能性と継続性のある対策の支援の取り組みにおける産業現場へのツールの適用を試みる。その後の対策の効果の評価・検証方法の基礎資料として活用する。

執筆者

鈴木 一弥

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