【令和5年度】 対策実装研究アクション1:ハイリスクドライバーの把握と対策
研究要旨
この研究から分かったこと
ハイリスクドライバーを病院受診に結びつけるためには、潜在的に存在する多様なニーズへの包括的な対応が重要であり、手引きと共に、これらを推進する仕組みの構築が必要である。
目的
健診結果から脳・心臓疾患の発症リスクの高い自動車運転従事者(以下「ハイリスクドライバー」という。)を把握し、病院受診を促すためのツール及び運用方法を立案し、運輸事業者が速やかにハイリスクドライバーを把握して、医療の管理下へつなげるための仕組みを検討することを目的とする。
方法
運輸事業者自らがハイリスクドライバーを把握し対応するためのツール(以下「手引き」という。)の試用及びアンケート調査に協力を得た地域トラック協会(以下「B 協会」という。)所属の14 事業者から、座談会形式にて試用結果に関するヒアリングを行った。対策実装チーム内で手引き内容を見直し、全国のトラック事業者へ手引きを配布した。対策実装チーム及び対策実装ステークホルダー、B 協会、労働者健康安全機構の間で意見調整を行い、特に小規模事業場のハイリスクドライバーを病院受診に結びつける仕組みとして、モデル事業及びモデル地域を立案した。
結果
ヒアリングにより、手引きを利用するにあたっての主な課題として、健康情報把握後の事業者が取るべき受診勧奨アクションの支援、健診結果の取扱い、既存サービス事業との競合、健診結果の解釈に関するリテラシー不足の4 点が明らかになり、潜在的に幅広いニーズが存在することが明らかになった。小規模事業場のアライアンス、活用可能な補助金、産業保健サビス事業者を取り込んだモデル事業を策定し、B 協会をモデル地域にした事業の実装を計画した。これらは対策実装研究アクション3 と連携して推進することとした。
考察
事業場の専任ではない産業医や保健師等の専門職、あるいは行政等には、多様で包括的な対応を行うことは難しく、これらは特に小規模事業場において、より解決の難しい環境となっている。したがって、特に小規模事業場に向けたモデル事業が必要となる。今後は、全国的な手引きの活用に関する評価、及びモデル事業の評価を行っていく。
キーワード
定期健康診断、ハイリスクドライバー、病院受診勧奨
執筆者
酒井 一博