【令和6年度】労働安全衛生総合研究所(JNIOSH)コホート研究

  • 令和6年度
  • 高橋 正也
  • コホート研究

研究要旨

この研究から分かったこと

大規模コホートデータから継続的に高ストレス状態を呈しがちである、あるいはこれまで高ストレスを呈していなかったが高ストレス状態となってしまう労働者の背景的特徴や傾向について明らかとなった。

目的

JNIOSH職域コホート研究の収集状況と全体の特徴を示し、これまで収集したデータから本年度はメンタルヘルスに着目し職業性ストレスの経年変化とその背景要因等について縦断的に検証することを目的とする。

方法

収集状況は参加者数等を年度ごとに示す。職業性ストレスの経年変化については2020年度と2021年度調査の継続参加者(対象人数n=25,862)のデータを用いる。職業性ストレスの経年変化については2年間のストレス状態で分類した(LL:低ストレス状態が継続、HL:高ストレスから低ストレス状態に変化、LH:低ストレスから高ストレス状態に変化、HH:高ストレス状態が継続)。状態の分類別に性別、年齢、雇用形態、職種、勤務形態、労働時間の変化などの特徴を比較する。

結果

2024年度は計85,416人が研究協力に同意(参加率約44%)し、2018年度調査からの参加者数はのべ約41万人となった。職業性ストレス変化の分類ごとの割合はLL:81.3%、HL:5.5%、LH:6.9%、HH:6.2%であり、2年間で一度でも高ストレスを呈したことのある者は全体の約18%であった。継続的な高ストレス状態(HH)は「女性」、「管理職以外」で高い傾向が見られた(HH:女性7.5%、男性5.0%、管理職3.0%、管理職以外6.7%)。低ストレスから高ストレス状態(LH)となった特徴として30歳未満が多く、労働時間が41時間/週以上に増えていた。

考察

本年度の約2.6万人の追跡データによる検証から、高ストレスを抱える傾向にあるのは「女性」や「管理職以外」の職種であること、高ストレスに移行しやすいのは30歳未満であることと、労働時間の慢性的な増加があることが示唆された。

キーワード

職域コホート、職業性ストレス変化、縦断解析

執筆者

高橋 正也

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