【令和6年度】高年齢労働者の心血管系負担に関する研究
研究要旨
この研究から分かったこと
過労死等が多い職種(運輸業)と高リスク者(高年齢労働者)の勤務中の心血管系負担を明らかにし、その負担の軽減策を提案していくことが本実験班の近年のミッションである。前期の研究では、ドライバーの勤務中の心血管系負担を緩和するため、1時間程度の昼休憩の確保が望ましいことを示した。
目的
今期の研究では、高年齢労働者の勤務中の心血管系反応を明らかにし、その反応特徴によって複数の反応グループに分類することを目的とする。今後は各反応グループの特徴に合わせた負担の軽減策について検討する予定である。
方法
前期(R3~R5)のドライバーを対象とした実験のデータをさらに分析し、研究成果の一部が英文原著論文として受理されたため、その詳細を報告する。今期実験では、60代の高年齢労働者を対象とし、勤務中(9:00~18:00)の心血管系反応などを測定する予定である。今年度は実験環境の整備、倫理審査の申請、実験プロトコールの設定、作業課題の作成などを行った。
結果
ドライバーのシミュレータ運転中の心血管系反応と異なる休憩パターンによるこれらの反応への影響を明らかにした論文を公表した。主な結果として、計30分より計60分の休憩、トータルの休憩時間が同じ場合は2回に分割するより1回のまとまった休憩が心血管系反応の緩和効果が大きかった。今期の実験準備は予定通り進んでおり、来年度本実験を行う予定である。
考察
前期の実験結果が、運輸業のドライバーの勤務中の休憩設定などに活かせれば、勤務中の心血管系負担の軽減、さらに心血管系疾患が原因となる過労死等の予防につながると考えられる。今期の実験結果が、高年齢労働者の健康管理に活用できると考えられる。
キーワード
心血管系負担、運輸業、高年齢労働者
執筆者