【令和6年度】対策実装研究アクション2:建設現場における現場監督・技術者の作業観察調査
研究要旨
この研究から分かったこと
現場調査において2時間から4時間の時間外労働があることが明らかとなった。また、勤怠管理から月40時間以上の時間外労働時間が認められ、長時間労働の削減が必要であることが示唆された。
目的
過労死等事案研究及び現場監督・技術(施工管理)者への生活時間調査より、現場監督・技術者の長時間労働の問題が明らかになった。本研究は、この問題への対策の検討をさらに進めることを目的とし、現場監督・技術者の作業・業務内容を把握するために作業観察調査を行った。
方法
対象者は、中堅ゼネコンの現場監督・技術者(男性6年目、主業務:施工図・工程表の作成・管理)であり、場所は東京都内の新築賃貸マンション建設現場であった。方法はタイムスタディ(1分間のスナップショット式)であり、記録項目は作業・行動(デスクワーク、会議/打合せ、現場指示・確認、現場作業、休憩、移動、その他)、PCタブレット等の使用ツール、作業姿勢等であった。本報告では4回の調査結果(基礎工事:1回目掘削工事、2回目:足場組立初日等、3回目コンクリート打設初日、4回目スラブ配筋検査)を示した。また、勤怠管理表の提供を受けた。
結果
タイムスタディ結果より作業・行動の回数は、デスクワークが1回目、2回目、4回目で最も多く、それぞれ、351回(53.0%)、317回(42.5%)、356回(45.4%)であり、3回目は現場指示・確認が307回(41.4%)で最も多かった。工程によりデスクワーク(事務所)と現場での作業回数が異なっていた。時間外労働時間は、4回の調査では2時間から4時間、勤怠管理においては月40時間以上であった。ヒアリング結果では、定例会議における設計図の軽微な変更が10数回あり、そのため施工図の変更が必要となり作業が増加するとあった。
考察
タイムスタディ結果において、デスクワークが最も多く、その詳細な内容を把握することが必要と考えられる。ヒアリング結果より定例会議における設計図の軽微な変更は、施工図の変更が必要になり、この対応は時間外労働の要因になると考えられる。4回の調査において、すべて時間外労働が発生していた。勤怠管理表においても3か月間すべて月40時間以上の時間外労働時間が認められた。また、自己申告による勤怠管理では、労働時間が正確に把握できないため、PC等の自動ログイン・ログアウト等の労働時間の正確な把握する管理方法が必要と考えられる。
キーワード
長時間労働、施工管理、勤怠管理
執筆者