【平成29年度】 長時間労働と循環器負担のメカニズム解明

  • 平成29年度
  • 劉 欣欣
  • 実験研究
  • 長時間労働
  • 心血管系負担

研究要旨

過労死等の防止は労働衛生上の重要課題である。本研究では、過労死等のリスク要因である長時間労働が、心血管系反応に及ぼす影響を明らかにし、心血管系負担の軽減策を検討するための基礎データを蓄積することを目的とした。

具体的には、実験室実験の手法を用いて、長時間労働時の血行動態反応を明らかにし、その結果を基に加齢、安静時高血圧症の有無、休憩の影響を検討した。

主な結果として、長時間労働は心血管系の負担を増大し、特に高血圧群の負担が大きいことが示された。加齢による影響は限定的だが、同年代中でも個人差が存在することが示され、サブグループに分けてさらに検討する必要性が示唆された。一方、作業中の長めの休憩(50分以上)が過剰な血行動態反応を抑制する効果が認められたが、15分以下の短めの休憩はこれらの抑制効果が認められなかった。本研究の結果から、やむを得ず長時間労働をしなければならない場合は、複数の長めの休憩を確保することが重要であることが示唆された。今後は休憩のタイミング、休憩の取り方についてさらに検討する予定である。

執筆者

劉 欣欣 

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