【平成27年度】 長時間残業等の業務負担と心血管疾患リスクに関する職域多施設研究
研究要旨
12企業10万人規模の職域多施設研究(J-ECOHスタディ)において、健康管理情報を収集し、職域疫学データベースを構築した。
このデータを用いて、残業と糖尿病及び高血圧の発症との関連を予備的に調べた。高血圧については残業時間とともにリスクが低下する傾向を認めた。残業時間がこれらの疾病リスクを高めることを支持しない結果である。長時間残業者で高血圧のリスクが低かった理由は不明だが、選択バイアスの可能性もあり、さらなる検討が必要である。
脳心血管イベントの症例対照研究を実施し、発症前の勤務状況を尋ねた。J-ECOH参加企業において、残業時間の自己申告の妥当性を会社の記録と照合し検証したところ、高い相関を示した。3か月を隔てて再調査したところ比較的長期の残業を尋ねる質問の再現性は高かった。自己申告による残業時間には一定の信頼性があることが確認された。
執筆者
溝上 哲也