【令和4年度】 過労死等の防止のための対策実装に関する研究

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研究要旨

この研究から分かったこと

過労死等の予防対策の実装に向けた情報が収集され、さらなる対策アクションの実行に向けた準備がなされた。

目的

産業界のステークホルダー(企業の経営者、大手企業の安全衛生のリーダー、業界団体、産業保健専門職、労務管理専門職、研究班)の協働体制(ステークホルダー会議)を構築し、過労死等の防止に関わる現場のニーズの把握及び良好実践例の収集を行い、ステークホルダーを交えた議論によって、定着と継続が可能な過労死等防止対策の実装の方策を検討することを目的とする。本年度は、産業現場での具体的な対策アクションを提案し、試行と評価を実施する。

方法

ステークホルダー会議を開催し、関係者から意見聴取を行うとともに、各種調査の実施、開発したツールの試用などを行った。これらの結果を踏まえ、研究班、産業保健の有識者(産業医)及び労務の専門家(社会保険労務士)から成る対策実装チームが、次の5 つの対策アクション案を作成した。①ハイリスク者の把握と対策、②重層構造の理解と深堀り、③中小事業場への産業保健サービスの提案、④生活習慣の改善、及び⑤改善型チェックリストの開発と実践。これらの各アクションの方法、これまでの結果等の詳細はアクションごとの報告で述べる。

結果

産業場面でのアクションの実施状況を中心に記載する。①トラック運送業界団体の協力により、管理者によるハイリスク者の把握を支援するツールの開発・試用とアンケート調査を実施した。②重層構造に関して運輸及び建設事業者による意見収集を継続し、建設技術者の勤務-生活時間調査を実施した。③中小事業場の健康管理・労務管理の改善を支援するチェックツール(建設業版)を開発し、管理者による試用を実施した。④行動変容の支援に関する予備調査を建設技能労働者に対して実施し、トラッカーの効果・使用感等を調査した。⑤職場環境改善を支援するチェックリスト(トラックドライバー版)と改善プログラムを作成し、大手運送会社での試用を行った。

考察

ツールの試行場面として、事業者団体による安全・健康一体的取り組みとの連携、パートナー事業者が参集する安全衛生に関するイベント、業務の効率化等を含む包括的検討との連携、及び企業の主導による従業員の健康増進の取り組みとの連携があげられた。企業・管理者の取り組みのメリットの理解と、参加する従業員の意義・目的の理解が重要と考えられた。

キーワード

実装研究、運輸業、建設業

執筆者

酒井一博

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