【令和4年度】 対策実装研究アクション4:生活習慣の改善の取り組み
研究要旨
この研究から分かったこと
過労死等防止対策実装案の立案にあたっては、産業現場のニーズとのマッチングを行った上で、実現可能性を高める必要がある。生活習慣を改善する取り組みについては、労働者自身の自主性を高めるような対策実装が重要である。
目的
労働者自身が生活習慣の意識、把握、改善をすすめるためのアクション型のツール(以下、取り組み)を、産業現場での実践を通して開発することを目的とし、取り組みの立案と予備的実践を行うこととした。
方法
建設業の安全部門の責任者、実務者を対象に、産業現場の特徴や現状の課題、対策状況、現場の業務上の制約等をヒアリングし、現場のニーズとマッチングさせた取り組みを立案した。立案された取り組みについて、モデル現場にて予備的実践を行った。取り組みへの参加者には、実施期間中はトラッカー及び体表温計を装着させ、介入期間の前後及びフォローアップ期間の終了時にアンケートに回答させた。また、参加者を2 群に分け、一方の群には介入期間中に自記式の睡眠日誌へ睡眠状況を記入させた。
結果
熱中症対策、安全対策、過労死等対策に関連のある睡眠をキーワードとした取り組みが立案された。取り組みの予備的実践へは20 人の参加者を得た。取り組みの実施期間は介入期間3 週間、フォローアップ期間5 週間の2 か月間となった。自記式睡眠日誌は10 人中9人から回答を得た。トラッカー及び体表温計の記録は20 人中19 人より取得した。アンケートは介入期間開始時、終了時は20 人から、フォローアップ期間終了時は19 人から回答を得た。
考察
産業現場において過労死等対策の優先度は必ずしも高くはなく、対策実装の立案や実践にあたって、現場や業種のニーズを汲み取った受容性の高い取り組みにする必要がある。建設業における生活習慣を改善する取り組みについては、重層下請構造等の業務形態から、労働者個人の自主性を高め、自ら行動変容を導く対策実装が必要と考えられる。今後は予備的実践で得た指標の評価を行う。
キーワード
生活習慣改善、自主性、アクション型
執筆者
酒井一博