【令和5年度】 指輪型生体デバイスの活用によるトラックドライバーへの睡眠介入効果の検討
研究要旨
この研究から分かったこと
2 か月間のオーラリングの装着による睡眠の「見える化」は、わずかではあるが睡眠に対する意識と行動を変化させることが示された。このことは、客観的な睡眠測定結果をもってあらためて確認したい。
目的
指輪型生体デバイスとスマートフォンアプリを用いた毎日の睡眠の「見える化」による介入が、不規則勤務者の睡眠の取り方と健康・安全に及ぼす影響を検証することを目的とする。
方法
運送会社においてフルタイムで勤務する地場トラックドライバー、内勤者、倉庫作業者の40 人が本調査に参加した。2 か月間の介入条件と2 か月間の統制条件での調査をクロスオバーデザインで行った。介入条件では参加者が2 か月間のオーラリング装着とスマートフォンアプリで毎日の睡眠状況の確認を行った。その他の測定項目は、調査期間を通して、機器を用いての睡眠、血圧、反応時間検査測定、唾液採取、WEB アンケート、勤務データであった。
結果
調査前半の2 か月間における3 回のWEB アンケート結果の解析より、オーラリング装着によって睡眠に対する意識や行動が、わずかではあるが変化したという回答を得た。しかし、疲労尺度であるVital Exhaustion(疲弊度)やNeed for Recovery(回復要求度)では、オーラリング装着や経過時間による差は見られなかった。
考察
調査前半に行った3 回のWEB アンケート結果の解析より、オーラリングの2 か月間の装着は、睡眠に対する意識や行動を変化させる効果を示したが、主観的な疲労感を変化させるには至らなかった。統計的な有意差が示されなかった一因として、被験者間比較であったことが考えられるため、調査終了後に全データを用いて睡眠や血圧等の客観的指標を合わせた解析検討を行う。
キーワード
睡眠介入、指輪型生体デバイス、トラックドライバー
執筆者