【平成29年度】 運輸業・郵便業における精神障害の労災認定事案の特徴に関する研究

  • 平成29年度
  • 高橋 正也
  • 事案分析:精神障害
  • 重点業種

研究要旨

脳・心臓疾患による過労死等の最多発生業種として注目される運輸業・郵便業は、精神障害による過労死等も多発している。本研究では精神障害の労災認定事案について、運輸業・郵便業の被災状況や関連する要因の特徴を明らかにすることを目的とした。

平成22年1月から平成27年3月の間に業務上認定された精神障害事案合計214件の調査復命書を分析した。事案全体の50%が恒常的な長時間労働、31%が仕事上の問題、21%が上司に関連した問題、約10%が乗客に関連した問題、路上での事故(被害)、事業場内作業時の事故(被害)に関連した。仕事上の問題は恒常的な長時間労働を伴う事案が多かった。上司に関連した問題では業務指導範囲内とは言え、被災労働者に対する罵声や叱責が多く認められた。これらの結果から、労働時間の適正化はもとより、業務の進め方、上司のあり方、作業安全の確保など時間以外の要因を改善することが本業種で働く労働者の精神障害を予防する可能性につながると考えられた。

執筆者

高橋 正也 

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