【令和4年度】 裁量労働制適用者の労災認定事案の分析(続編)

  • 令和4年度
  • その他
  • 労災事案分析

研究要旨

この研究から分かったこと

みなし時間に見合った業務量とすることがまず重要である。また、日々の出退勤管理を通じた労働時間管理を適正に行い、これにより、健康福祉確保措置並びに苦情処理措置を適正に運用していくことも重要である。さらに、管理職による職場管理が重要であり、企業としても、裁量労働制適用者の管理と同時に、職場管理を行う管理職へのサポートが必要である。

目的

本研究は、裁量労働制適用者にかかる脳・心臓疾患事案と精神障害事案について、労働災害発生の具体的要因を探ること、また、裁量労働制が適用されていることと労働災害発生の関係性を探ることを目的に行うものである。

方法

本研究は、平成23 年度から令和元年度までに業務上認定された裁量労働制適用者にかかる脳・心臓疾患事案と精神障害事案を用いて、被災者の労働時間・職務遂行の状況や、事業場・上司による職場管理などの視点から事案分析を行うものである。

結果

裁量労働制適用者に係る労災保険事故発生の機序としては、概ね、長期間にわたる日々の長時間労働深夜勤務、休日出勤を含む。)、また、その背景にある労働時間以外の負荷要因(働き方)や、業務の量的質的変化による過重な業務負荷があった。精神事案については加えて、職場の人間関係(上司や同僚とのトラブル)も業務負荷を過重なものとしていた。

考察

裁量労働制適用事案という特殊性を踏まえると、みなし時間を超える時間に働いている(働き過ぎている)こと、またこのことから、みなし時間に見合わない業務量であることがうかがわれた。併せて、労働時間管理が必要であるにもかかわらず、出退勤管理を通じた労働時間管理が十全ではないこともうかがわれた。

キーワード

労働時間、裁量労働制、職場管理

執筆者

池添弘邦

PDF