【令和2年度】 トラックドライバーの血圧と疲労に影響する働き方・休み方の検討
研究要旨
過労死多発職種の一つであり、長時間拘束や、不規則勤務、夜間勤務等の過重負荷を含む多様な働き方が認められるトラックドライバーを対象として、勤務と睡眠、健康の関連について3つの現場調査研究を行うことで、過労死防止に資する働き方・休み方改善方法を探ることを目的とした。
1)トラックドライバーの働き方による睡眠と血圧、疲労の特徴では、長距離26人(平均年齢49.7歳)、地場11人(平均年齢50.6歳)における1人2週間の測定を行った。2)トラックドライバーの睡眠が血圧と疲労に及ぼす影響では、3泊以上の長距離34人(平均年齢51.1歳)、深夜・早朝出庫の地場22人(49.1歳)における1人1週間の測定を行った。3)トラックドライバーの血圧値を下げる要因と介入方法の検討は、長距離67人を対象とした1人1か月間の調査を現在、実施中である。
トラックドライバーの現場調査1)と2)の結果からは、地場運行では長距離運行に比して、短い勤務間インターバル、早い出庫時刻、短い睡眠時間で働いていることが明らかになった。勤務日の疲労は、地場の出庫時や長距離の帰庫時といった直前の睡眠時間が短時間になる場合に高かった。血圧値に関しては、高血圧者が短時間睡眠の場合に血圧値がより一層高くなる傾向がうかがえ、また運行形態にかかわらず、特に勤務1日目の出庫時に高くなることが示された。今後は、現在行っているトラックドライバー調査の結果より、脳・心臓疾患のリスク要因である血圧値を上昇させる複合要因を明らかにする必要がある。