【平成29年度】 労働安全衛生総合研究所(JNIOSH)コホート研究及び労働者1万人を対象としたWEB調査

  • 平成29年度
  • 高橋 正也
  • コホート研究
  • 長時間労働
  • 勤務間インターバル
  • 睡眠

研究要旨

本研究は、国内の企業等に勤務する2万人程の労働者集団(コホート)を構築した上で、長期(5~10年)に亘る追跡調査を行う職域大規模調査研究であり、その目的は、過労死等関連疾患(脳疾患、心疾患、精神障害等)の発症リスクに影響を及ぼす労働環境要因や身体・生活環境要因の同定とその影響の程度を評価することである。昨年度同様、今年度の課題は、研究参加企業を特定し、参加企業に所属する労働者の勤務状況データ、健診データ、レセプトデータを研究に利用できる体制を整えることであった。さらに今年度は、参加企業の初年度データを入手することを目標とした。

その結果、労働者規模8,000人程のA社及び同15,000人程のB社と研究参加を前提とした具体的な協議がなされ、2社のうち、A社においては、勤務状況データと健診データを研究に利用できることが確定した。A社労働者には今年度11月に実施されたストレスチェックの際に研究概要を書面にて説明し、全8,031人中6,806人(84.7%)の労働者の同意が得られた。

一方、本研究では、JNIOSHコホート研究の試験的・予備的調査の位置付けで、国内労働者1万人を対象としたWEB調査(横断研究)を昨年度、実施している。今年度はWEB調査で得られたデータを詳細に解析した。その結果、1)勤務間インターバルと睡眠の量、質の関連性を検討した分析では、勤務間インターバルが短いほど睡眠時間が短いだけでなく、睡眠の質も悪くなることが示された。また、2)身体活動状況(座位行動)と疾病罹患リスクとの関連性を検討した分析では、勤務中の座位時間が長いほど、糖尿病や脂質異常症に罹患するリスクが高まることが示された。

執筆者

高橋 正也 

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