【令和3年度】 労働安全衛生総合研究所(JNIOSH)コホート研究

  • 令和3年度
  • 高橋 正也
  • コホート研究
  • 長時間労働
  • 疲労
  • ストレス

研究要旨

この研究から分かったこと

月当たり平均労働時間が180 時間以上になると、活気のなさ、イライラ感、不安感、抑うつ感に影響が生じ、さらに205 時間以上になると疲労感に影響が現れた。月当たり残業45 時間以上となる頻度が過去6 か月間に2 回以上で不安感、3 回以上でイライラ感と抑うつ感、4 回以上で疲労感が高まった。

目的

JNIOSH コホート研究では、国内の企業等に勤務する一定数の労働者集団を研究コホートとして構築した上で長期間(5~10 年)追跡し、過労死等関連疾患の発症リスクに影響を及ぼす労働環境要因や身体・生活環境要因の同定とその影響の程度を評価することを目的としている。今回は、労働時間及び長時間労働の頻度とその後の心理的・身体的ストレス反応との関連について検討する。

方法

JNIOSH コホート参加企業6 社のうち5 社から提供された勤怠データ、ストレスチェック結果との関連を解析した。解析では、労働時間指標として平均労働時間、長時間労働(月当たり45 時間以上の残業)の頻度を独立変数、心理的・身体的ストレス反応を従属変数とした共分散分析を行った(共変量:年代、性別、勤務形態、雇用形態、職位、労働時間の測定期間(6 か月)における新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の発出有無)。

結果

平均労働時間と心理的ストレス反応との関連では、対照群(月140-180 時間)に比べて、活気、イライラ感、不安感、抑うつ感は月180 時間以上で、疲労感は月205 時間以上で有意に高かった。過去6 か月間における長時間労働の頻度とその後の心理的ストレス反応との関連では、活気は1 回でも長時間労働を経験すると対照群(0 回の群)より有意に低く、不安感は2 回以上、イライラ感と抑うつ感は3 回以上、疲労感は4 回以上経験すると高かった。また、両労働時間指標と身体的ストレス反応との間に有意な関連はなかった。

考察

平均労働時間が長い群は、心理的ストレス反応すべての得点が高まっていた。6 か月間における長時間労働の頻度については、頻度(回数)により心理的ストレス反応に与える影響が異なることが分かった。労働時間指標と身体的ストレス反応との間には関連が認められなかったが、もともと身体愁訴のある人が長時間労働を行わない可能性もあり、今後検討が必要である。

キーワード

平均労働時間、長時間労働の頻度、ストレスチェック

執筆者

高橋正也

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