睡眠時間と冠動脈性心疾患の関連性

睡眠時間と冠動脈性心疾患の関連性
目次

出典論文

Wang D, Li W, Cui X et al. Sleep duration and risk of coronary heart disease: A systematic review and meta-analysis of prospective cohort studies. Int J Cardiol. 2016; 219: 231-9. PMID: 27336192

著者の所属機関

華中科技大学等

内容

本研究では、睡眠時間と冠動脈性心疾患リスクの関連性を検討するため、17の前向きコホート研究論文(参加者は合計517,440名、冠動脈性心疾患の事例報告は合計17,841件)の用量-反応メタ解析を行った。その結果、睡眠時間と冠動脈性心疾患の間にU字型の関連性が示され、1日7-8時間睡眠が最も疾患リスクが低かった。短時間睡眠と冠動脈性心疾患の間に有意な関連性が示され、7時間睡眠と比べて、睡眠時間が1時間減少すると、疾患リスクが11%増加する関連性が示された(相対危険度=1.11、95% CI =1.05-1.16)。長時間睡眠についても疾患リスクと有意な関連が示され、7時間睡眠と比べて、睡眠時間が1時間増加すると、疾患リスクが7%増加することが示された(相対危険度=1.07、95% CI =1.00-1.15)。

解説

睡眠時間と脳疾患の関連を検討した研究は複数あるが、本研究はそれらをシステマティックレビューとしてまとめ、かつ7時間を基準とした睡眠時間の変化による冠動脈性心疾患のリスク変化を報告した研究であり、ここには日本の論文が3本含まれている。1日24時間という限られた時間の中で、労働時間が長くなればその分睡眠を取る機会が減少する。その結果として、上記リスクが増加することが予想されるため、長時間労働は望ましくないといえる。

池田 大樹(いけだ ひろき)
記事を書いた人

池田 大樹(いけだ ひろき)

過労死等防止調査研究センター(RECORDs)の主任研究員で、現場介入チームと心血管系チームに所属。専門分野は睡眠学。質問紙による横断・縦断調査、睡眠計や疲労アプリを用いた観察調査、実験室実験などにより、過労死及びその防止に関する研究を、睡眠をメインとして実施している。