睡眠をとっていない人の顔の特徴

睡眠をとっていない人の顔の特徴
目次

出典論文

Sundelin et al. Cues of fatigue: effects of sleep deprivation on facial appearance. Sleep 2013; 36(9):1355-1360.

著者の所属機関

Department of Clinical Neuroscience, Karolinska Institute, Stockholm, Sweden(カロリンスカ研究所)

内容

睡眠をとっていない人の顔の特徴を調べるために、40名の観察者が、20枚の顔写真を疲労や顔の特徴(目、皮膚、口、悲しみ)の観点からVisual Analog Scaleによって評定した。10枚の顔写真は通常の睡眠の後に撮られたものであり、残りの10枚の顔写真は断眠(5時間の夜間睡眠とそれに引き続く31時間の覚醒状態)の後に撮られたものであった。断眠した人の顔写真は、通常の顔写真と比較して、疲労が高いと評定されるとともに、まぶたが垂れ下がっている、目が赤い、目がはれている、くまがある、血色が悪い、乾燥じわが多い、口角が垂れ下がっている、悲しく見えると評定された(p < 0.01)。また、これらの8つの特徴に加えて、目の生起のなさは、評定された疲労と有意に関連していた(p < 0.01)。発疹・湿疹、口元の引き締まりについての評定は断眠の影響は認められなかった。

解説

疲労はアンケートなどの自己報告法によって評価されることが多いが、それは本人の内省能力によって大きく左右されるものであり、簡便かつ客観的な評価法は見当たらないのが現状である。この研究の結果は基礎的なものであるが、顔の特徴によって、その人の疲労度を客観的に評価できる可能性を示している。最近の双子を対象とした疫学研究では、見た目に老けていると評価された人は死亡率が高かったことも報告されており、このような“見た目”は、疲労や過労死のリスクをアセスメントする際に有効であるかもしれない。

井澤 修平(いざわ しゅうへい)
記事を書いた人

井澤 修平(いざわ しゅうへい)

過労死等防止調査研究センター(RECORDs)の上席研究員で、専門分野は精神神経内分泌免疫学、産業保健心理学、産業ストレス。早稲田大学先端科学・健康医療融合研究機構などでの職歴を持つ。現場介入調査チームでバイオマーカーの部分を担当し、ストレスや過重労働の生理的な影響を、唾液、毛髪、爪に含まれるホルモンなどによって評価している。モットーは「才能とは努力を継続できる力である」。オフの時間はインドア派で、TVドラマを見たり、ゲームをしたり、本を読んだりして過ごす。