睡眠時間と死亡率–週末の睡眠時間も含めた検討

睡眠時間と死亡率–週末の睡眠時間も含めた検討
目次

出典論文

Åkerstedt T, Ghilotti F, Grotta A, Zhao H, Adami HO, Trolle-Lagerros Y, Bellocco R. Sleep duration and mortality - Does weekend sleep matter? J Sleep Res. 2018 May 22:e12712. doi: 10.1111/jsr.12712. [Epub ahead of print] PMID: 29790200

著者の所属機関

カロリンスカ研究所等

内容

先行研究において、平日の睡眠時間と死亡率の間にU字型の関連が示されている。本研究では、新たに平日と週末の睡眠時間と全死亡率との関連を検討している。38,015名(18歳以上)を対象とした13年間の追跡調査のデータから、コックス比例ハザード回帰モデルにより死亡のハザード比(HR)と95%信頼区間(95%CI)を算出した。なお、本論文では年齢層別(65歳未満、65歳以上)の分析が実施されているが、ここでは65歳未満の結果のみ記す。結果として、平日と週末の睡眠時間がそれぞれ6-7時間の基準群と比較して、両睡眠時間が5時間以下の群(HR 1.65; 95%CI 1.22-2.23)や8時間以上の群(HR 1.25; 95%CI 1.05-1.50)は死亡リスクが高かった。一方、平日の睡眠時間が短く、週末の睡眠時間が長い群の死亡リスクは基準群と比べて有意差はなかった。結論として、平日と週末の両方の睡眠時間が短い(もしくは長い)と死亡リスクが高いことが示された。

解説

本研究は、平日だけでなく、休日の睡眠時間の確保も重要であることを示唆した研究である。本研究の結果から、平日・週末ともに睡眠時間が短い場合は死亡リスクが高いが、平日の睡眠時間が短くても週末の睡眠時間が長い者はそうではないことが示された。この結果に対し、著者らは週末の長い睡眠は平日の短い睡眠を補っている可能性を示唆している。一方、他の先行研究から、平日と休日の睡眠時間の差が大きいと、肥満や心筋梗塞等のリスクが高いことも報告されている。よって、可能な限り、平日及び週末に十分な睡眠時間をとるほうがいいといえるだろう。

池田 大樹(いけだ ひろき)
記事を書いた人

池田 大樹(いけだ ひろき)

過労死等防止調査研究センター(RECORDs)の主任研究員で、現場介入調査班と循環器班に所属。専門分野は睡眠学。質問紙による横断・縦断調査、睡眠計や疲労アプリを用いた観察調査、実験室実験などにより、過労死及びその防止に関する研究を、睡眠をメインとして実施している。