短時間睡眠は虚血性心疾患のリスクを増加させる

短時間睡眠は虚血性心疾患のリスクを増加させる
目次

出典論文

Garde AH et al. Sleep duration and ischemic heart disease and all-cause mortality: prospective cohort study on effects of tranquilizers/hypnotics and perceived stress. Scand J Work Environ Health. 2013 Nov;39(6):550-8 PMID: 23804297. DOI: 10.5271/sjweh.3372

著者の所属機関

デンマーク国立労働環境研究所等

内容

本研究では40-59歳の男性労働者5,249名を対象にして、30年間、追跡調査を行った。その結果、全対象者の死亡率は53.9%となり、虚血性心疾患の死亡率は全対象者の11.9%であった。睡眠時間が6時間未満の短時間睡眠者(276名)では、睡眠時間が6~7時間の者(3,837名)と比較して、虚血性心疾患のリスクがおよそ1.5倍増加していた。しかし、全死因にその関連は見られなかった。仕事や余暇中の心理的プレッシャーは睡眠時間の短縮と虚血性心疾患死亡率の増加に影響が見られなかった。一方、精神安定剤・睡眠薬を服用していた者の中では、睡眠時間が6~7時間の者と比較して、短時間睡眠者は虚血性心疾患死亡リスクが2~3倍増加していた。なお、精神安定剤・睡眠薬を服用していなかった者に関しては、睡眠時間と虚血性心疾患死亡率の間の関連は認められなかった。

解説

短時間睡眠と脳・心臓疾患の発症率の関係は多数報告されており、本論文もそのうちの一つである。さらに、本論文は、睡眠薬等を服用していても睡眠時間が短い者では虚血性心疾患のリスクが高いことを明らかにしている。睡眠は心身を休めるために重要であり、そのための時間を確保することが必要である。