デンマークの働き方に学ぶ(夏編)

デンマークの働き方に学ぶ(夏編)
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みなさん、God eftermiddag!
デンマーク労働環境研究センター(Denmark National Research Centre for the Working Environment)で在外研究員をしている、蘇リナと申します。専門分野は体力科学、スポーツ医学で、主に労働者の身体活動と健康の関係について研究をしています(最近の研究成果)。デンマークは、効率的で健康的なワークライフバランスを大切にしている国で、生活と仕事の調和が非常にとれた社会です。実際にデンマークの職場で働いてみると、皆さんの職場改善のアイデアとして参考になりそうなことがたくさん見つかりましたので、ご紹介していきます。

今回は、デンマークでの働き方やワークライフバランスについてご紹介します。

デンマークの働き方

デンマークの働き方でまず目を引いたのは、1日7時間の勤務時間がきちんと守られていることです。この短い勤務時間は、すべての職員が自分の仕事に責任を持ち、効率的に働くことを前提としています。お互いを信頼し、無駄な作業を省き、効率を最大化するその姿勢は非常に印象的でした。

ウォーキング&トーキング昼休みは30分と短めですが、天気の良い日には「ウォーキング&トーキング」と呼ばれる15〜20分のウォーキングが行われます。この活動は、リフレッシュできるだけでなく、同僚との交流を深める絶好の機会にもなっています。私もこのウォーキングのおかげで、チームに早く馴染むことができました。

柔軟で開放的な職場環境

デンマークの研究所の職場環境は、非常にオープンでフレンドリーです。オフィスのドアはいつも解放されていて、昇段式デスクを使って自分に合った作業スタイルを選ぶことができます。このような柔軟性のある環境が、個々の働き方を尊重し、効率の向上に寄与していると感じます。また、紙をほとんど使わないデジタル中心の業務は、物理的な資料に頼らずスムーズな作業フローを実現しており、まさに「環境にやさしい」働き方を体験しています。

健康を重視した余暇の過ごし方

デンマークで私が特に驚いたのは、運動が生活の一部として自然に取り入れられていることです。多くの人が自転車で通勤し、仕事が終わった後はランニングやフィットネスを楽しんでいます。研究所では毎週金曜日の朝7時から、職場内のジムで自主参加型のトレーニングが行われており、誰でも気軽に体を動かせる環境が整っています。

特に夏は日が長く、16時に仕事が終わってもまだ明るいので、同僚と一緒に森を走ったり、さまざまなアクティビティを楽しみました。このように運動が生活に自然に組み込まれているライフスタイルは、心身の健康に良い影響を与え、仕事のパフォーマンス向上にもつながっていると実感しています。

まとめ

デンマークでの生活を通して、効率的で健康的なワークライフバランスについて多くを学んでいます。日本においても、デンマークのような働き方やライフスタイルを柔軟に取り入れることで、働く人々の幸福度や仕事の生産性を大きく向上させることができるのではないでしょうか。

次回は、真冬のコペンハーゲンからお届けします。どうぞお楽しみに!


蘇 リナ(そ りな)
記事を書いた人

蘇 リナ(そ りな)

労働安全衛生総合研究所の主任研究員。専門分野はスポーツ医学、体力医学、労働衛生。労働者の体力(身体的体力や精神的体力)および身体活動に着目した疫学調査・介入研究を行っている。主要な職歴としては、筑波大学スポーツ医学専攻のティーチングアシスタント、茨城県結城市結城看護専門学校の非常勤講師、日本学術振興会の特別研究員など。研究者になったきっかけは、大学院での研究を通じて、自分の研究が社会に貢献できると感じたから。