心臓血管反応の低下はトラックドライバーの不安や疲労症状の増加と関連

出典論文
Guest AJ et al. Attenuated cardiovascular reactivity is related to higher anxiety and fatigue symptoms in truck drivers. Psychophysiology. 2021;58(9):e13872. doi: 10.1111/psyp.13872.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34086343/
著者の所属機関
School of Sport, Exercise and Health Sciences, National Centre for Sport and Exercise Medicine, Loughborough University, Loughborough, UK.
論文の内容
抑うつや不安は、ストレス誘発性心血管反応(CVR)の低下と関連付けられており、これは自律神経調節障害の兆候である可能性がある。仕事関連の疲労と CVR の関係についてはあまりわかっていない。トラックドライバーは、日常的にさまざまなストレスにさらされ、抑うつ、不安や疲労のレベルがより高いと思われる。本研究には、386 人のトラックドライバーが参加し、不安・抑うつ尺度(HADS)と職業性疲労/回復尺度(OFER-15)のアンケートに回答した。CVR を安静時およびストレスばく露中(計10分間のストレス課題)の収縮期血圧(SBP)、拡張期血圧(DBP)、および心拍数(HR)で評価した。脱落者や欠損データのある者を除き、計322名の参加者のデータを分析した。統計解析の結果、持続的な疲労が高いほど、SBP(β = -0.236、p =0 .009)とDBP (β = -0.257、p = 0.005)の 反応性が低下した 。一方、急性的な疲労が高いほど、DBPの 反応性が増大する傾向が見られた (β = 0.169、p = 0.052)。また、不安症状が高いほど、SBP の反応性が低下した (β = -0.164、p = 0.016)。この研究では、トラックドライバーの集団において、不安と持続的な疲労はともにSBP の反応性低下と関連しているが、急性疲労は DBPの反応性増加と関連する傾向を示した。
RECORDsメンバーによる解説
過剰な心血管系反応(例えば、過剰な血圧上昇など)は心血管疾病のリスクを高めることが知られています。一方、ストレスに対する心血管系反応の低下も心血管疾病のリスク増加と関連していることが指摘されています。この研究では、ストレス誘発性の心血管系反応と不安および疲労の関係の調べたところ、血圧は持続的な疲労との間に有意な負の相関関係があり、特に持続的な疲労と不安症状の増加が、ストレスに対する収縮期血圧反応の低下と関連していることを示しました。この研究の結果は、心血管系反応とメンタルヘルスとの関連性を示すエビデンスとなり、職場におけるメンタルヘルスと心臓血管の健康を維持するための健康介入の新たな焦点となる可能性があります。