RECORDsの取組み

過労死等防止対策推進シンポジウムにおける講演報告

過労死等防止対策推進シンポジウムにおける講演報告
目次

過労死等防止対策推進シンポジウムにおける講演報告

令和5年11月に開催された「過労死等防止対策推進シンポジウム」においてRECORDsの吉川統括研究員と久保上席研究員がそれぞれ青森、新潟、大阪で基調講演を行いました。

2023年 過労死等防止対策推進シンポジウム チラシ

吉川統括研究員は「過労死等防止に役立つ職場環境改善のヒント~過労死等に係る労災認定事案の分析研究等の成果から~」の演題名で、過労死等の実態からみたメンタルヘルス対策の力点として、業種ごとで負荷要因は異なり、業種ごとの特徴にあわせた防止対策が重要であることや、最近の医学研究からわかった過労死等のメカニズムからみた疾患別、介入対象別のアプローチによる防止策を概説しました。後半では、参加者が職場環境改善ヒント集のチェックリストを実際に記載して、過労死等防止に職場ですぐに取り組める対策について参加者同士で意見交換を行いました。過労死・過労自殺防止には労働時間管理に加えて、職場で取り組むことができる多くの改善視点を学ぶ機会となりました。

シンポジウム報告

久保上席研究員は「働く人々における巧みな休み方:オフの量と質の確保の重要性」の演題名で、過労死の問題は日本だけではなく、世界的にも問題になりつつある現状を紹介し、その対策として、オフの量の確保につながる「勤務間インターバル制度」を紹介しました。しかし、勤務間インターバルが確保されていたとしても、最近の情報通信技術の発達によって勤務時間外でも仕事の連絡が取りやすくなってしまったため、それが健康リスクになる可能性も考えられます。したがって、勤務間インターバルとともに、オフの質の確保として勤務時間外の仕事の連絡を規制する「つながらない権利」の重要性も紹介しました。そして、情報通信技術の発達の方向性としては、仕事がプライベートを侵食する形で進むことになると予見されるので、オフには物理的に仕事から離れるだけではなく、心理的にも仕事から距離(サイコロジカル・ディタッチメント)を保てる組織的な対策と個人的なスキルが近未来では非常に重要になってくるだろうという主張をして講演を締めくくりました。

RECORDsでは今後も過労死や過労自殺、過重労働による健康障害等の予防に貢献できる研究を推進して,その成果を社会に向けて情報発信していきたいと考えています。

久保 智英(くぼ ともひで)
記事を書いた人

久保 智英(くぼ ともひで)

過労死等防止調査研究センター(RECORDs)の上席研究員で、専門分野は産業保健心理学、睡眠衛生学、労働科学。労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所の他、産業医科大学での職歴を持つ。フィンランド国立労働衛生研究所での客員研究員としての活動も経験。モットーは「やってやれないことはない、やらずにできる訳がない」。研究のイロハを教えてくれた師匠たちを尊敬している。