【学会報告】日本産業衛生学会 全国協議会

RECORDsメンバーが日本産業衛生学会 全国協議会において登壇
2024年10月3日~5日の3日間、かずさアカデミアホールで開催された第34回日本産業衛生学会 全国協議会 において、RECORDsメンバーが登壇しました。
◎シンポジウム3
【日時】10月4日(金)16:20~18:20 【場所】第2会場
【テーマ】過労死等防止対策はどこに進んでいくのか
~労働時間対策、メンタルヘルス対策、ハラスメント対策~
【座長】宮本 俊明(日本製鉄) 中野 愛子(日立製作所)
【演者】
■過労死等の事例分析からみえてきたこと
吉川 徹(労働安全衛生総合研究所 過労死等防止調査研究センター )
■法的側面からみた今後の過労死等防止対策
木下 潮音(第一芙蓉法律事務所)
■働く者からみた今後の過労死等防止対策
春川 徹(KDDI労働組合 中央執行委員長)
■企業側からみた今後の過労死等防止対策
三宅 邦明(ディー・エヌ・エー)
■過労死等を減らすために産業現場でできること
田島 麻琴(日立製作所)
■過労死等の事例分析からみえてきたこと
2024年は議員立法で成立した過労死等防止対策推進法から10年の節目となる。今回のシンポジウムでは「過労死等防止対策推進協議会」委員から推薦された演者として、研究者、弁護士、労働組合側、企業側、産業保健師の視点からなど、それぞれの立場から報告があった。過労死等防止調査研究センターの吉川は、過労死等の事例分析からみえてきたこと、白書掲載の研究成果や事案分析から得られた過労死等防止の知見を報告した。総合討議では、2019年に施行された働き方改革関連法案も後押しとなり、過労死等の予防や産業保健活動も進展していること、今後の過労死等防止対策の方向性について、ビジネスと人権の考え方を軸に、仕事と生活の調和の視点、各業種・事業場のステークホルダーの役割、パワハラ・カスハラ対策、良好事例の共有等をさらに推進していく必要性が議論された。(吉川 徹)
シンポジウム3
◎シンポジウム15:雇用と就業の多様化研究会シンポジウム
【日時】10月5日(土)14:30~16:30 【場所】第5会場
【テーマ】運送業における2024年問題と労働者への影響
【座長】鶴ヶ野 しのぶ(九州大学)
【演者】
■ドライバーの労働環境と物流2024年問題
矢野 裕児(流通経済大学)
■トラックドライバーの不規則勤務の健康問題とその対策
松元 俊(労働安全衛生総合研究所)
■全国運送ドライバーの健康調査(当研究会による調査報告)
錦谷 まりこ(神奈川県立保健福祉大/九州大学)
■トラックドライバーの不規則勤務の健康問題とその対策
過労死の最多職種であるトラックドライバーでは、過重負荷要因とされる不規則勤務者での脳・心臓疾患発症が目立っていた。不規則勤務による循環器への負担を明らかにするため、長距離と地場トラックドライバーに対して、30日間連続の自宅睡眠測定と、勤務日の出勤時と退勤時に血圧および動脈硬化指標の測定を行った。その結果、血圧の上昇には夜間・早朝勤務に伴う不規則な出発時刻や起床時刻、離床回数のような睡眠の質が関連することが示された。とりわけ地場トラックドライバーでは、出発時刻差や出発時刻の変動、不規則勤務に伴う睡眠時間の変動が血圧上昇や動脈硬化の悪化と関連した。不規則勤務者の健康管理には、夜間・早朝勤務回数の制限や、勤務時刻の変動を小さくする勤務スケジュール調整が有効であるかもしれない。今後は勤務スケジュールと睡眠に対する介入の効果を検証し、それぞれの職場にあった勤務改善を続けていく必要がある。(松元 俊)