働きやすい職場づくりプログラム ~カードゲーム式アクション型ツール~

働きやすい職場づくりプログラム ~カードゲーム式アクション型ツール~
目次


働きやすい職場づくりプログラム

過労死等対策実装研究では、運輸および建設業における大手、中堅それぞれの安全衛生のキーパーソンと労務と産業保健の実務家を含む「過労死等防止対策実装ステークホルダー会議」を設置し、そこでの意見聴取と議論を通じて、5 つの目標・アクションプランを設定しました。
働きやすい職場づくりプログラムは、5つの目標・アクションプランの中の「職場改善ツールの開発と実装」に向けた取組みの一つです。

安全・元気で働く運輸職場のための職場づくりカードワーク

働きやすい職場づくりプログラムは、安全・元気で働くことができる運輸職場づくりに向けた職場改善を目的としています。現場のことをよく知っている現場で働く皆さま自身が、仲間と話し合いながら、広い視野で職場環境の改善策を立てていくことが大事です。

今回ご紹介する「安全・元気で働く運輸職場のための職場づくりカードワーク」は、特にトラックドライバーの皆さまが、元気にやりがいをもって働くための職場環境づくりのお手伝いをするために開発しました。ドライバー職以外の方にもご利用いただける内容です。ぜひ皆さまの働きやすい職場づくりにご利用ください。

働きやすい職場づくりプログラム

クリックするとプログラムマニュアルのダウンロードフォームが立ち上がります

働きやすい職場づくりプログラムの全体像

Plan 改善計画を立てる

グループごとのカードワークで、職場改善計画を作成する

*「安全・元気で働く運輸職場のための職場づくりカードワーク」は、「働きやすい職場づくりプログラム」のPに該当します。

Do 改善計画の実行

職場改善を、一定の期間(1~3か月)を決めて実行する

Check 実施した行動を評価

安全大会などで、成果発表や情報交換を行う

 Act 改善して、次回につなげる

今後の課題とアクションプランを再考する

プログラムのポイント

1.働きやすい職場づくりのための6つの目標

過労死等事案の分析結果と国内外の既存の職場改善のためのチェックリスト等を参考に、過労死等事案の分析結果に基づき、職場を改善するための6 つの目標を設定しました。

  1. 協力して成長できる
  2. 睡眠・休息が取れる
  3. 安全に働ける
  4. 互いに尊重し支えあえる
  5. 社会的責任を果たす
  6. 健康で元気に働ける

2.働きやすい職場づくりのためのカードワークツール

対策カード

6つの目標ごとに3~4 個、計23 項目の運輸職場を想定した改善アクション項目を設定しています。国内外の既存の職場改善のためのチェックリスト等を参考に、トラックドライバーの仕事や環境を考慮して作成しました。

改善アクション項目は、対策カードとして、1枚に1項目ずつ記載し、参加者全員に配布することで、グループワークの中での意見交換や合意形成が円滑に進むよう工夫されています。

分類カード

グループワークでは、改善アクション項目を以下の4つの区分に分類しながら、職場改善プログラムの計画作成を進める。分類カードを用い、カードゲーム風のグループワークとすることで、意見交換や合意形成が円滑に進むよう工夫されています。

  • この対策を実施したい
  • 会社が導入済みのしくみ
  • 今、自分はやっている
  • 今は取り組まなくてよい

グループワークの風景①

3.ツールを活用した改善事例

*A社*

*グループワークで提出された改善課題:倉庫前に凹凸があり、台車による運搬の際、地面の凹凸により商品の破損落下のリスクがあった。

*改善策を実施した人:ドライバー

*実施したこと:構内の凹凸の修理

  • 改善策を考えるだけでなく、社長と相談して自分たちで補修した
  • 凹凸ができてしまう原因についても話し合い、同じ場所で荷積み荷卸しをしない工夫をすることになった

※ 構内に凹凸がない状態に整備するのは、安全配慮の観点からは、経営者側の義務であります。しかしながら、あえて、専門業者に修理発注せずに従業員の自律したPDCA活動を支援した例です。

*B社*

グループワークで提出された改善課題:「残業時間が増えている」「作業負担が増えている」「業務の効率化が必要」がテーマとなった。

*改善策を実施した人:倉庫従業員

*実施したこと:新入社員1名の増員

  • 人員を増やしてほしいという要望について、ピーク時の残業時間などの数値的なデータを現場社員がまとめて報告した
  • 報告内容を元に議論を重ねた

4.カードワーク参加者の声

  • 自分以外の意見を知れて良かったです。
  • これで、色々な事がみんなの協力で改善できたらうれしいと思う。
  • 皆で意見交換できてよかったです。
  • グループで考える~文字にする~発表する、そのような機会があってチームワークの心も芽生えてくるように思います。続けていきます。

5.経営者の声

  • ドライバーがこんなに意見を言ってくれるとは思っていなかった。
  • 今までも意見は言ってきたけど、要望ばかりだった。これからは自分達で動ける社員を作らなければいけない。これが人財育成であり、経営資源であり、 ひいては健康経営だ。

グループワークの風景②

働きやすい職場づくりプログラムを活用したい方へ

「安全・元気で働く運輸職場のための職場づくりカードワーク」プログラムを職場で実施したい方、またはプログラムで使用するカードツールのご利用を希望される方は、下記のお問い合わせ先までご連絡ください。

お問い合わせ先

労働安全衛生総合研究所 過労死等防止調査研究センター
対策実装チーム mail:jisso@h.jniosh.johas.go.jp

鈴木 一弥(すずき かずや)
記事を書いた人

鈴木 一弥(すずき かずや)

過労死等防止調査研究センター(RECORDs)の研究員で、事案研究班と対策実装チームに所属。専門分野は産業心理学、産業人間工学、労働科学。過労死等の防止対策、運転労働、疲労対策、作業のエルゴノミック改善に取り組んでいる。主要な職歴は、愛知学院大学文学部の助手や公益財団法人大原記念労働科学研究所の研究員など。オフの時間は美術館やライブ・コンサートなどのアート鑑賞をすることで過ごしている。特に好きなのは「横浜トリエンナーレ」や出身地の愛知のトリエンナーレのように、展示会場が散らばっていて、ふだんあまり行かない場所を移動しながら見て回るタイプの現代アート展である。