心血管疾患リスクを下げるには長時間労働やその他の職業上の有害要因による高血圧の予防が必要である

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出典論文

Prevention of hypertension due to long working hours and other work hazards is needed to reduce the risk of cardiovascular disease.

Scand J Work Environ Health. 2025;51(1):48-52. PMID: 39571103. doi: 10.5271/sjweh.4196 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39571103/

著者の所属機関

School of Public Health, State University of New York (SUNY) -Downstate Health Sciences University

論文の内容

高血圧は世界の主要な死因である心血管疾患(CVD)における最大の危険因子です。米国など一部の国では、高血圧の有病率と就労年齢層におけるCVD死亡が増加しています。CVDは世界で最も一般的な仕事関連疾患でもあります。長時間労働や職場のその他の心理社会的ストレッサーは、高血圧およびCVDにとって重要な危険因子です。

しかし、仕事関連の高血圧とCVDの一次予防には、十分な注意が払われてきませんでした。的確な臨床判断と、血圧上昇に関わる危険因子の評価には24時間自由行動下血圧(ABP)が不可欠です。したがって、職場のスクリーニングおよびサーベイランス(調査と併用)にはABPを取り入れ、職業性リスク要因や高リスクの職種、事業所、勤務シフトを特定するとともに、職場の組織・運営の改善を目的としたプログラムの評価に活用すべきと考えられます。

例えば、カナダ・ケベック州の公的部門のホワイトカラー労働者2,000人超を対象に、職場の心理社会的ストレス要因を減らすことを目的とした組織的介入を30か月実施したところ、介入群では血圧(BP)と高血圧の有病率が有意に低下しましたが、対照群にはこの変化が見られませんでした。介入群と対照群のABP低下量の差は、収縮期血圧で2.0 mmHg(95%信頼区間:-3.0~-1.0)、拡張期血圧で1.0 mmHg(95%信頼区間:-1.7~-0.3)であり、高血圧の有病率は15%低下しました(有病率比[PR]:0.85、95%信頼区間:0.74~0.98)。

さらに、仕事に関連する要因と高血圧・CVDとを結びつけるメカニズム、各種職業性ストレッサーが心血管系に及ぼす影響、CVDリスクの高い労働者集団への介入、そして労働条件・高血圧・CVDに関する国ごとの違いについて、さらなる研究が必要と思われます。

RECORDsメンバーによる解説

仕事に関連するCVDは、世界で最も多い職業性疾患とされています。例えば長時間労働は、心疾患、脳卒中、および冠動脈疾患の危険因子として知られています。高血圧はCVDの最大な危険因子であるため、長時間労働およびその他の職業性リスク要因が血圧に及ぼす影響に注目することで、そのメカニズムの解明および疾病の予防策の検討に貢献できると思います。

本論文は様々な疫学調査と介入研究を紹介し、長時間労働や心理社会的職場ストレッサーが24時間自由行動下血圧(ABP)の上昇と関連することを示し、高血圧管理にABPが有効であることを説明しました。

これらの結果は、ABPを用いたリスク評価が、長時間労働の削減、勤務シフトの調整、適切な休憩の配置など職場環境の改善につながる可能性があることを示唆しています。

劉 欣欣(りゅう しんしん)
記事を書いた人

劉 欣欣(りゅう しんしん)

過労死等防止調査研究センター(RECORDs)の上席研究員で、心血管系チームに所属。専門分野は人間工学、労働生理学。実験研究を担当しており、作業中の生理負担を解明、その負担の軽減策を検討。千葉大学工学研究科の産学官連携研究員を経て現職につく。