研究員に聞いてみよう! 「働く人の体力」編 File#1

研究員に聞いてみよう! 「働く人の体力」編 File#1
目次

研究員に聞いてみよう

なんとなく聞いたことはあるけど、よく分からない。愛想笑いで流してしまう。そんなトピックについて、RECORDsメンバーに教えてもらうシリーズです。

今回はこちら

あんえい犬


こんにちは、あんえい犬です。

最近、子供のころ自由研究って何したかなぁと思い返していたら、
研究員さんに教えてもらいたいことがいっぱい出てきてソワソワしています。

今回は、「働く人の体力」について、
この方に聞いてみたいと思います!




松尾上席研究員

こんにちは。松尾(上席研究員)です。よろしく!
「働く人の体力」、僕に任せて!



あんえい犬

松尾先生、ありがとうございます!

体力って、結構身近な事だから聞いてみたいことがいっぱいです。
先生の研究チームは、実験室で働く人の体力測定してるって聞いたんですけど、
「体力」って、どうやって測定するんですか?




松尾上席研究員

体力には筋力や瞬発力、柔軟性など、さまざまな測定項目があります。
どれも正確に測定する場合は専用の測定機器や熟練した検者が必要なんです。

一方で、それぞれの体力項目には簡便な測定法も提案されていて、
文科省のウェブサイトで年代別の各種測定法が確認できるので、見てみると参考になるよ。
https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/stamina/03040901.htm


あんえい犬

測定する人のこと、検者って言うんですね!専門家っぽい。

体力って、色んな項目と測定方法があるんですね。
確かに子供のころいろんな測定した記憶があります。

先生たちは、体力の何を測定しているんですか?




松尾上席研究員

僕たちは特に「心肺持久力」に着目しています。
身体の多くの器官が関わるので「全身持久性体力」とも呼ばれますが、
特に心臓の働きが影響しますので「心臓の体力」という側面もあります。
多くの体力項目の中でも最も代表的なものです。

インタビュー:松尾①



あんえい犬

心肺持久力。
どこかで聞いたことがある単語ですね。




松尾上席研究員

保健体育の授業で聞いたんじゃないかな?

心肺持久力は「最大酸素摂取量」で評価します。

最大酸素摂取量は、VO2max(Vの上にドット)“ブイドットオーツーマックス”
という呼び名でも知られています。

しかし、この方法は特殊な機器や測定法を熟知する専門家が必要ですし
対象者も疲労困憊になるまで歩いたり走ったりする必要があり、
簡単に測定できるわけではありません。



あんえい犬

特殊機器に専門家。
疲労困憊まで・・・簡単に測定できないんですね。

他の方法はありますか?




松尾上席研究員

さっき紹介した文科省ウェブサイトで提案されている「20 mシャトルラン」は、
最大酸素摂取量測定の代替法です。

特殊機器は必要ありませんが、運動するための広めのスペースが必要です。
学校ではスポーツテストとして実施されていますが、
大人はなかなか測定機会がありません。



あんえい犬

あれ、嫌いです。
あの音楽思い出しただけで疲れてきました・・・

自分で測定できる方法とかはありますか?




松尾上席研究員

最近は、最大酸素摂取量の推定機能が付いたスマートウォッチが市販されていますよね。

活動時の心拍数などで最大酸素摂取量を推定する方法で、
個人で測定するには有効な手段です。
ただし、スマートウォッチによる測定値の妥当性は現段階ではまだ高くないんです。



あんえい犬

ぼくも左腕につけてます。
今後のスマートウォッチの進化に期待します!

じゃあ、どれも難しいってことですかね。




松尾上席研究員

完璧なものってなかなかないよね。

だから、僕たちは、
大人(特に労働者)が、一人でも簡便かつ安全に心肺持久力を評価するための方法
いくつか提案(https://tairyoku.records.johas.go.jp/contents)しています!
質問紙やステップ運動で最大酸素摂取量を推定する方法です。

特殊な機器や専門家も必要ないし、疲労困憊にもならない方法なので、
あんえい犬くんも試してみてよ!


あんえい犬

やります!(犬でもできるかな…)

次も、「心肺持久力」についていろいろ教えてください!

中村 有里(なかむら あり)
記事を書いた人

中村 有里(なかむら あり)

過労死等防止調査研究センター(RECORDs)の広報を担当。管理栄養士、健康運動指導士、アスレティックトレーナー。モットーは「苦手なものは、無理して食べない」。オフの日は、スポーツ観戦をして過ごすことが多い。