研究員に聞いてみよう! 「働く人の体力」編 File#3

研究員に聞いてみよう! 「働く人の体力」編 File#3
目次

研究員に聞いてみよう

なんとなく聞いたことはあるけど、よく分からない。愛想笑いで流してしまう。そんなトピックについて、RECORDsメンバーに教えてもらうシリーズです。

今回はこちら

あんえい犬


こんにちは、あんえい犬です。

今回も、「働く人の体力」の続きです。
はじめての方は、まず→File#1」「File#2をご覧ください。

松尾先生、素朴な疑問なのですが、
 体力=心肺持久力ですか?




松尾上席研究員

あんえい犬くん、今日もよろしく!

その疑問、大事な着眼点だよ!

心肺持久力は体力項目の中でも最も代表的な指標だけれども、
筋力や柔軟性、瞬発力、平衡性なども重要な「身体的」体力です。

一般的に「体力」というと、
このような身体的体力(physical fitness/フィジカルフィットネス)のことを指しますが、

研究分野では、体力はこういったフィジカルフィットネスだけでなく、
精神的体力(mental fitness/メンタルフィットネス)も含めて
考える必要があることが古くから言われています。



あんえい犬

メンタルフィットネス。あんまり聞いたことなかったです。




松尾上席研究員

そうなんだよね。

メンタルフィットネスは概念として掲げられるだけで、ほとんど注目されてきませんでした。
でも、皆さん想像がつくと思うけど、
今、労働衛生分野では、労働者のメンタルヘルスが重要課題となっています。

そこで僕たちは、
労働者の体力をフィジカルフィットネスメンタルフィットネスの双方から捉えて、
疾病や労働生産性との関係を検討したいと考えています。

メンタルフィットネス研究では、その理論モデルを生成し、
それを基に開発した質問票による疫学調査などに取り組んでいます。(https://tairyoku.records.johas.go.jp/research#research-1


あんえい犬

「体力」奥深いですね。

労働者にとって重要な体力はなんですか?




松尾上席研究員

心肺持久力は「心臓の体力」であり、様々な病気の発症と関係するので、特に重要です。

また、この体力は「疲れやすさ」に関わりますので、
労働者の皆さんにとっては日々のお仕事の生産性にもかかわります。 

働き盛りの年代でこの体力が低いと、高齢期になって病気になりやすかったり、
医療費が高くなったりすることが分かっています。

インタビュー:松尾③




あんえい犬

そうだ、「疲れやすさ」の指標になるって、
#2で教えてもらってましたね!




松尾上席研究員

よく覚えてたね!

あと、加齢とともに「筋力」が低下することにも留意する必要があります。
筋力低下は高齢者の労働災害に多い転倒や腰痛の原因にもなります。

スクワット運動などの筋力トレーニングができればよいですが、
そこまでできない場合でも、
歩く時間を確保したり、階段を使ったりして、

特に下肢の筋力低下を予防する必要があります。



あんえい犬

ぼくも働く人だから、心肺持久力と筋力を維持したいと思います!

次は、「働く人がやってみた方がいい事」を教えてください!

中村 有里(なかむら あり)
記事を書いた人

中村 有里(なかむら あり)

過労死等防止調査研究センター(RECORDs)の広報を担当。管理栄養士、健康運動指導士、アスレティックトレーナー。モットーは「苦手なものは、無理して食べない」。オフの日は、スポーツ観戦をして過ごすことが多い。